3 生物モニタリンゲ調査(生物指標環境汚染測定調査)の概要
(1) 昭和53年度より着手した生物モニタリング調査は、化学物質が食物連鎖等を通じて魚介類や鳥類に残留蓄積することがよく知られていることから、全国の定点において採取した魚介類、鳥類の指標生物を利用し、環境中の化学物質の濃度レベルの推移を長期的に把握しようとするものである。
(2) 昭和56年度調査においては全国の13地域を対象に魚類、貝類、鳥類、計10種について、調査を実施した。調査対象物質には有機塩素化合物(PCB及びその類似物質、BHC類、ドリン剤、DDT類、塩素化ベンゼン類)及びフタル酸エステル、リン酸トリブチルを選定した。
(3) 各化学物質の検出の全体的な傾向としては、PCBは、なお多くの対象生物種から検出され、PCNは前年度に引き続き検出されず、HCBは、微量ながら魚類の大半と鳥類で検出された。BHC類の濃度レベルは全体的にみて大きな変化はなく、ドリン類のうちディルドリン及びエンドリンは前年度に比べ濃度レベルの低下の傾向がみられている。DDT類については、検出レベルは前年度と比べ大きな差異はなかった。塩素化ベンゼン類及びリン酸トリブチルについては検出頻度は低く、フタル酸エステル類については検出されなかった。
(4) 得られたデータの詳細な評価については、本調査が昭和53年度を初年度として開始されたものであるため、更にデーターの蓄積を待たなければならない点が多いと考えられ、今後とも長期的観点から調査を継続して行くこととしている。