4 フロンガス問題について
(1) エアゾール製品、冷媒等として利用されているフロン11、12を中心としたフロンガスは化学的に極めて安定な物質であるため、環境中に放出された場合、分解されずに成層圏に達してオゾン層を破壊し、その結果、地表面に達する紫外線が増加して、皮膚がんの増加、気候の変化等をもたらす可能性があることが指摘されている。
この問題については、最近においてもオゾン減少の予測値に相当な下方修正が加えられるなど、未だ科学的な解明が十分には行われていない部分があるが、その反面オゾン層の減少が現実に起こった場合に、その影響は全地球的規模に及ぶ重大なものであり、影響の未然防止の観点から早期に対策に取り組む必要性が指摘されている。
(2) フロンガス問題を国際的にみた場合、米国等いくつかの国々においては、フロンガス放出の法的規制を実施しており、またEC(欧州共同体)においても、理事会決定に基づき55年以降フロンガス放出抑制を行っている。更に、フロンガス問題は一国で完結しない全地球的規模の問題であることから、国連環境計画(UNEP)、世界気象機構(WMO)、OECD等の国際機関でも検討が進められている。なお、57年にはUNEPオゾン層保護基本協定検討法律・技術専門家作業部会が開始された。
(3) 我が国においては以上のところを認識しつつ、57年度においてもフロンガス(フロン11、12)の生産能力を増加させないよう業界を指導する等の対応を行っている。更に、本問題に関しては、科学的に十分な解明を行うことが重要であり、各種国際機関における調査研究の推進に協力するとともに、フロンガス等の環境濃度の測定、予測モデルの検討、消費実態の把握等の調査研究を関係省庁において実施する等フロンガス問題について着実な対応がとられている。