5 石炭利用の拡大への対応
石油代替エネルギーとして、発電所等における大型ボイラーとセメント焼成炉を中心に、石炭の利用の拡大が進められている。石炭は石油と比較して一般に燃焼時の硫黄(いおう)酸化物、窒素酸化物、ばいじんの発生量が大きく、また、屋外貯炭場等から粉じん飛散が生じることもある。更に、セメント焼成炉を除いて石炭の利用に伴い大量の石炭灰が発生する。このため、石炭の利用に当たっては十分な環境保全対策の実施によって当該地域の環境に影響を及ぼさないように十分配慮する必要がある。
特に瀬戸内海区域においては、瀬戸内海環境保全特別措置法の趣旨を踏まえ、石炭利用施設の立地については、石炭灰等の処理について、瀬戸内海の環境保全上十分な配慮が必要である。
石炭燃焼施設において、効率の良い公害防止装置の導入が図られない場合、石炭利用の拡大に伴って環境保全上問題を生じることも予想される。
窒素酸化物については、燃焼時の窒素酸化物の発生を抑制するための対策としては、燃焼温度の低減、空気比の抑制等の方式があり、二段燃焼、排ガス再循環、低NOxバーナーなどの技術が既に開発されている。また、燃焼後の対策としては、乾式アンモニア接触還元法を主流とする排煙脱硝装置がある。これらについては既に実用段階にあり、さらなる技術開発が進められている。
なお、石炭利用施設の導入に当たっては、環境保全の観点から、十分な対策を講じることが必要である。