2 水質汚濁
(1) 公共用水域の水質監視
都道府県知事が行う公共用水域の水質常時監視のための測定計画の作成及びこれに基づき地方公共団体が行う水質測定について引き続き助成を行うとともに、その測定水域の拡大を図ることとしている。建設省においては、河川管理者として引き続き水質監視を行うこととしている。また、苛性ソーダ製造(水銀法)工場周辺水域等において底質中の有害物質の調査を引き続き行うこととしている。
(2) 水質監視測定機器の整備
公共用水域の水質の常時監視体制の強化を図るため、水質自動監視測定機器の設置について助成を行うとともに、総量規制対象地域における汚濁負荷量の効果的な監視体制の整備について助成を行うこととしている。建設省においては、一級河川について、水質の集中監視を行うため水質の自動監視装置の整備、テレメーター化を進めることとしている。
(3) 排水の監視
工場又は事業場の排水基準の遵守状況を監視するために必要な経費について引き続き助成を行うとともに、総量規制対象地域における汚濁負荷量の効果的な監視体制の整備について助成を行う。
(4) 海洋の監視測定等
環境庁においては、55年度に引き続き日本周辺海域における総合的な調査研究を行うこととしている。これは、日本沿岸から廃棄物投棄海域を通る測定線に設けた測定点において、水質、底質、プランクトンについて各種の項目を調査するものである。
海上保安庁においては、巡視船艇・航空機の整備・増強を図るほか、海上公害関係の組織や要因の充実、分析測定用資機材の整備等により監視取締体制の一層の充実を推進することとしている。
また我が国周辺海域や主要湾において、海洋環境保全のための基礎資料を得ることを目的とした調査を実施するほか「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」に定められている重金属等を含んだ汚でい等を固型化したものの排出海域(A海域)に投棄された産業廃棄物の漏えい拡散状態をは握するため、深海底層流観測等を実施することとしている。
「1973年海洋汚染防止条約に関する1978年議定書」おいて新たに規制の対象となる軽質油や有害液体物質の違法排出に対する有効な監視取締りを行うため、「排出軽質油の識別手法の開発に関する研究」を継続するとともに、新たに「海洋汚染に係る化学物質の識別に関する実験的研究」を実施することとしている。
また、第3次国連海洋法会議においてコンセンサスが得られようとしている200海里排他的経済水域における沿岸国等の海洋汚染に関する取締権限の設定に対応するため、巡視船艇・航空機による効率的な広域監視取締体制について検討してゆくこととしている。
気象庁においては、日本近海及び西太平洋海域における海洋バックグラウンド汚染観測を引き続き行うこととしている。
(5) 排出油防除体制の整備
海上保安庁においては、海上における油排出事故に対処するため、原因者責任体制の充実を図るとともに、自らも巡視船艇、航空機の常時出動体制の確保を図るとともに、排出油防除資機材の配備を強化する。
また、海上災害防止センターや、流出油災害対策協議会等の指導・育成を図るとともに、全国各地において官民合同の排出油事故対策訓練を実施する。
更に、大量の石油の海上輸送、石油の洋上備蓄の推進等の情勢にかんがみ、排出油防除体制の質的向上を図るための検討を行う。