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第4節 海外広報等の推進

(1) 海外広報
 我が国は、これまで環境政策を推進していく過程において、諸外国の知識、経験を取り入れて発展させた経緯を有し、諸外国との交流、情報の交換が環境政策の推進に多大の貢献をなしたものと考えられる。
 一方、我が国に極めて特徴的な環境汚染被害の経験を有するとともに、その解決に努力する過程で得た知識も多く、これらの知見を諸外国特に発展途上国に提供することによって、国際的に環境保護の推進に寄与することは、我が国の責務とも考えられ、我が国に対する理解を深め、かつ、国際交流を促進するために不可欠なものといえる。
 その一環としての海外広報活動としては、「英文環境白書」(Qualityof the Environment in Japan, 1980)、「環境保全研究成果集」(EnvironmentalResearch in Japan,1980)、月刊「ジャパン・エンバイロンメント・サマリー」(Japanenvironment Summary)の定期刊行物のほか環境に関する各種法令を英訳出版し、各国政府、在外公館、国連等国際機関、各種環境関係機関等に配布し、積極的な広報活動を行っている。
(2) 国際研修の実施
 東南アジア、中近東、中南米等の発展途上国においては、工業開発の進展、人口の増大と都市への人口集中、自動車交通量の増加等に伴い、開発地域や都市部の大気汚染、水質汚濁、騒音等が重大な問題となりつつあり、環境破壊を伴わない経済発展の必要性についても関心が高まりつつある。これら諸国は、ここ数年、環境保全に関する行政組織や法制度の整備、環境汚染防止設備の建設等に取り組んではいるものの、専門的な知識経験を有する行政官・技術者の絶対数の不足に直面している。このため、環境庁、建設省及び厚生省は国際協力事業団との協力により、集団研修を実施している。そのコースとしては、毎年、環境行政、環境技術(以下環境庁)、水質汚濁・下水道(建設省)及び廃棄物処理(厚生省)がある。このほか、特定の問題に焦点を合わせた個別研修も各国のニーズに応じ随時実施されている。
 55年度における集団研修コースには、第8回環境行政研修(56年3月〜4月開催)に7か国10名、第6回環境技術研修(55年9〜10月開催)に12か国12名、第8回水質汚濁・下水道研修(55年9月〜12月開催)に12か国12名、第12回廃棄物処理研修(55年5月〜7月開催)に11か国11名が参加した。

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