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第4節 

3 空港周辺対策

(1) 空港周辺対策
 発生源対策を実施してもなお航空機騒音の影響が及ぶ地域については、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき、空港周辺対策を行っている。同法に基づく対策が実施される特定飛行場は、函館、仙台、東京国際、新潟、名古屋(54年5月指定)、大阪国際、広島、松山、高知、福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇及び新東京国際空港の16空港となっている。これらの特定飛行場周辺においては、学校、病院等の防音工事及び共同利用施設整備の助成、住宅の防音工事の助成、建物の移転補償、緩衝緑地帯の整備等を行っている。
 特に54年7月からは、民家防音工事の充実を図ることとし、対象室数を家族数に応じて最高5室まで増加するとともに、対象区域となる第一種区域の基準値を原則としてWECPNL85から80に改め大阪国際空港等11空港において54年度中に第一種区域の拡大等を行った。
 また、特定飛行場のうち周辺地域が市街化されているため計画的整備を促進する必要があると認められる大阪国際空港及び福岡空港については、周辺整備空港として指定し、関係府県知事が策定する空港周辺整備計画に基づき、国及び関係地方公共団体の共同出資で設立された空港周辺整備機構が固有事業として再開発事業、代替地造成事業等を行っている。このほか、両機構では、国からの委託事業として移転補償、緩衝緑地造成事業、民家防音工事助成を実施している。
 このほか、大阪国際空港周辺においては、大気汚染測定センターの設置、騒音測定塔の増設、関係地方公共団体による空港周辺地域営業者融資制度及び移転者のための低利融資制度等の創設のほか、同空港周辺の「新しい街づくり」の実現のため生活環境施設整備を促進するなど種々の航空機騒音対策の強化が図られている。なかでも、「新しい街づくり」については、府県知事の作成した大阪国際空港周辺整備計画を基礎として、具体的な地区整備計画を策定するため、大阪国際空港周辺整備計画調査委員会を設置し、検討を重ねている。53年度より関係地方公共団体が移転跡地等を利用して公園・広場等の周辺環境基盤施設を整備する場合にその費用の一部を補助する制度が発足したが、54年度には更に補助対象施設の拡大を行った。
 また、東京国際、大阪国際、福岡、宮崎、鹿児島、那覇及び名古屋空港周辺地域で、テレビ受信障害に対する受信料の助成等を行っている。
 これら空港周辺対策を実施するための予算も年々拡充され、54年度は対前年度比66%増の756億円となっている。(第4-4-4表)。


(2) 空港周辺における立地規制
 空港周辺における住宅等の建築制限を含む土地利用制度を確立することによって、空港周辺に新しい住宅等が建築されて問題が拡大するということを未然に防いで航空機騒音問題の根本的な解決を図るため、空港の周辺地域について、?航空機騒音対策基本方針の策定、?航空機騒音障害防止特別地区等の都市計画決定及び当該地区内における住宅等の建築制限または防音上の構造制限、?住宅等の建築禁止に伴う損失補償、土地の買入れ、?航空機騒音対策基本方針に適合する施設の整備に対する国の助成等の措置を講ずることを内容とする「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」が53年10月19日から施行された。
 同法に基づきこれらの措置がとられる特定空港として現在、新東京国際空港が指定されており、千葉県において同空港の周辺地域について航空機騒音対策基本方針の策定作業が行われている。

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