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第7節 漁業被害対策

(1) 漁業公害調査
 ?PCB・水銀等による汚染状況をは握するため、引き続き、魚介類の汚染状況調査を行うこととし、PCBについては30水域、水銀等については61水域について調査を実施するほか、?前年度に引き続き、魚介類への水銀蓄積機構を明らかにするための調査を実施する。また、?「海洋水産資源開発促進法」に基づく沿岸水産資源開発地域及びその周辺水域における水質汚濁等による環境の悪化の防止を図るため、都道府県が実施する漁場環境調査に対し、引き続き助成することとしている。更に、?海面の大規模な埋立てや大規模発電所の建設に伴う漁場の喪失、大量温排水について、漁業への影響の予測等の事前評価の手法に関する調査を引き続き実施するとともに、新たに、各種開発事業が漁場環境に与える影響を適切に予測評価するための指針の策定及びこれに基づく評価事業を実施することとしている。
(2) 漁業公害の防止及び指導体制の整備
 ?水質汚濁等による漁業被害の発生防止とその軽減を図るため、全国的な調査指導体制の整備を進めてきたが、54年度においても、引き続き。都道府県に置かれている漁業公害調査指導員による漁場の監視・緊急連絡等を行う漁業公害調査指導事業に助成するとともに、?漁業公害に対する認識を深めるため、漁業公害防止啓蒙宣伝事業として、映画やテレビの製作放映等を行うこととしている。また、?突発的漁業被害発生に対処して、漁場油濁被害防止軽減のための油処理剤、同散布器、オイルフェンス等の防止資器材の整備につき、引き続き、都道府県に助成することとしている。更に、?廃棄物の堆積等により効用の低下している沿岸漁場等に対しては、都道府県等が実施する廃棄物除去等の漁場復旧事業及び沿岸漁場整備開発事業の一環としての大規模しゅんせつ等の事業に対し、引き続き助成するほか、新たに、水域一帯にわたる廃棄物の回収、除去、処理等一貫した清掃事業を行うための試験調査を実施することとしている。
(3) 赤潮防止対策
 ?赤潮防止対策としては、瀬戸内海のほかに、九州西部、北海道及び東北等、近年、赤潮が多発し、又は特殊プランクトンが発生している海域を対象に、テレファックス等を用いて、漁協、道府県、水産庁を結ぶ赤潮関係の情報収集、処理体制を拡充強化して、早期通報を行うことにより、漁業被害を防ぐとともに、赤潮発生予察のための調査を実施することとしている。また、?赤潮発生時における魚類の避難及び畜養のための施設の設置に対して助成することとしている。?赤潮の発生要因の一つであるヘドロについて、54年度においては、噴火湾、須崎湾等において、その堆積分布状況、堆積量、性状等の調査を行うとともに、播磨灘において生物相とヘドロ除去の関連について調査を行い、漁場改良復旧のための基礎資料を得ることとしている。また、?粘土物質によるヘドロ底質の改良技術、海草等水産動植物による水中の富栄養化物質の除去技術、海底耕うん機又は海底ばっ気装置による底質の改良技術、赤潮発生時における養殖施設の緊急避難技術等赤潮に関する各種技術開発試験を実施することとしている。
(4) 漁業被害救済対策
 公害による被害漁業者の救済対策としては、?原因不明の油濁事故の続発に対処し、被害漁業者に対する救済金の支給、防除費の支弁等を行う財団法人漁場油濁被害救済基金に対し、事業費等の助成を行う。また、?養殖共済のうち赤潮特約に係る掛金について助成を行うこととしている。

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