3 鳥類に生息状況
我が国は、ユーラシア大陸の東側に位置する島国であり、その動物相を水平分布で区分すれば、ほとんどが旧北区に属し、一部が東洋区に及んでいる。
我が国で生息が記録された鳥類は約500種で、鳥相は比較的豊かな方であり、そのうち約6割が季節的に移動を行う「渡り鳥」である。
環境庁では、42年以来全国300か所で統一的手法により定点調査を行っている。これまでの調査結果(43〜50年)によれば、前記500種のうち夏季には平均115種、冬季には平均100種が確認されている。
鳥類のなかには、アホウドリ(鳥島)、タンチョウ(北海道)等生息域が極めて限定されているものもあるが、一方、その生息域が全国に及んでいるものも多い。調査地点のなかで、ある種の鳥が出現した地点数の割合をその鳥の出現率とすると、出現率の高い鳥は大体において日本中に広がって住んでいる種類の鳥であることが分かる。これによると、ホオジロ、ヒヨドリ、シジュウカラ、キジバト、モズ、スズメは夏、冬を問わず1年中、全国至る所で、その姿を見せていることが分かる。
また、この定点調査の10か年にわたる資料分析によれば、都市化の進行とともに森林及び水辺の鳥類は生息域を狭められている一方、ヒヨドリ、ムクドリ等の都市型の鳥類の増加傾向が明らかである。これは、我が国が戦後経験した急速な都市化による国土利用の大幅な変化と無関係ではあるまい。
次に、我が国の冬の風物詩ともいうべき、シベリア、サハリン、千島方面から越冬するため渡来するハクチョウ、ガン、カモ等のガンカモ科の鳥類については、45年以降、毎年1月中旬に行われている調査によって種類別の渡来羽数が明らかにされている。過去9回の調査結果を基に我が国におけるガンカモ科の鳥類の渡来羽数の推移を概観してみると、第1-14図のとおりとなっている。
ガンカモ科の渡来は、河川、湖沼、干潟等の広範囲にわたるため本調査で確認された羽数が必ずしも我が国に渡来するすべてとはいい難いが、毎年、ハクチョウ類は約1万4〜5千羽、ガン類は1万羽を越える年もあるが平均して6〜7千羽、カモ類は毎年130万羽前後確認されている。
ハクチョウ類については、53年調査によれば、北海道、青森、宮城の道県で、その渡来数の約7割を占め、このほか秋田、山形、福島、新潟、島根の各県に多く渡来し、これらの8道県で渡来羽数の98%が確認されている。また種類別に見ると、オオハクチョウが約8割、コハクチョウが約2割となっている。
ガン類については、53年調査によれば、青森、宮城、新潟、石川、滋賀の数県に集中してその渡来がみられる。例年、マガン、ヒシクイ(全ガン類の98%)の生息地域は、宮城、新潟県に集中している。コクガンは、主として北海道、青森県で確認されている。
カモ類については、マガモ、カルガモ、コガモ等34種のうち、53年調査では24種類が確認された。地域によって渡来する種類に相違はあるが、ハクチョウ類、ガン類に比べて全国的に分布している。