2 国土利用から見た自然環境の現状
自然環境の保全に関連した国土利用は、主として原野、森林、農用地等である。
これらの国土利用の状況を見てみると、森林の面積は最近の12年間で若干増加しているものの農用地、原野などは最近かなり減少している。
第1-13表で見るように我が国の森林面積は、52年で、2,527万haと国土の3分の2を占めている。
森林は、自然環境の保全、野鳥の保護、大気の浄化等環境保全上有している機能も多い。
森林の構成は51年で自然林が57%、人工林が37%、竹林等その他が6%となっている。最近自然林が減少し、人工林が増えている傾向にある。
森林面積全体では、この12年間に11万ha増加したが、これは地方圏での増加によるもので、三大都市圏では7万haも減少している。
ちなみに法律によって指定された面積を見てみると、自然公園では総面積520万haのうち約8割に当たる403万haが森林であり、自然環境保全地域、鳥獣保護区、風致地区等の指定地域においても、その大半は、森林によって占められている。
2次的な自然としての農用地は、52年で569万haと国土の約15%を占め、その緑地空間としての環境保全上持つ意義は、特に、人口が集中し、原野、森林の少ない大都市地域では大きい。
しかし、農用地はこの12年間で、643万haから569万haへと74万ha減少し、地方圏は52万haの減と農用地の改廃面積の絶対量は大きいが、減少率は三大都市圏の方が大きい。
原野とは、ツルヨシ群落、低層湿原、中高層湿原、隆起サンゴ礁植生及び砂丘植生など植生自然度の高いものから、ササ草原、ススキ草原、シバ草原など比較的植生自然度の低いものなど多岐にわたっている。
原野はここ12年の間に27万haの減少をみたが、主として北海道、東北地方に集中していることから、この地方の原野が減少したものと考えられる。
国土の約3%を占める水面、河川、水路等の土地利用も、自然環境を維持しているといえるが、ここ12年間は、ほとんど変化が見られない。これは、ダム、水路建設による面積増加が干拓、埋立て等による水面減によってほぼ相殺されていることによるものである。