3 騒音・振動
(騒音)
騒音は各種公害のなかでも日常生活に関係の深い問題であり、また発生源も多種多様である。騒音に関する苦情件数は、例年、公害に関する苦情のうちで最も多数を占め、52年度においても全苦情件数の約3割を占めている。このうち、工場騒音が最も多く、建設騒音がそれに次いでいる。(第1-9図)。
自動車、航空機等の交通機関に起因する交通騒音の苦情件数は、騒音に関する苦情全体から見れば少ないが、近年、訴訟等も提起され社会問題となっている。
自動車交通に起因する騒音については、地域の騒音を代表すると思われる地点又は騒音に係る問題を生じやすい地点において都道府県が測定した自動車交通騒音実態調査の結果を見ると、環境基準に適合する測定地点数の全測定地点数に対する割合は、52年で17.6%となっており、また、「騒音規正法」に基づく要請基準を超えない測定地点は、52年で77.7%となっている。
また、航空機騒音については53年12月までに環境基準の中間改善目標を達成することとされており、運輸省、防衛庁の調査によれば、かなりの空港について中間改善目標の達成を見たが、なお大阪国際空港、福岡空港等一部の空港については達成が十分とはいえない状況にあり、他方、自衛隊等が使用する大部分の飛行場では達成が十分とはいえない状況にある。
また、新幹線鉄道騒音については、既設線沿線のうち80ホン以上の区域については、53年7月までを目途として環境基準が達成され又は維持されるよう努めるものとされており、その時点においては達成は十分とはいえない状況にあったが、その後、障害防止対策等の推進により、かなりの進展をみている。
その他の騒音では、営業騒音、深夜騒音について苦情件数の増加が見られ、深夜営業に伴うカラオケ騒音、家庭のピアノ、クーラー等の騒音等いわゆる近隣騒音について関心が高まっている。例えば、53年10月に環境庁が環境モニター(全国500人)を対象に行った近隣騒音の実態についてのアンケート調査によれば、約55%の人が近隣騒音で迷惑を受けているという結果が出ている。
(振動)
振動は、工場、建設作業、交通機関等がその主要発生源である。52年度の振動に対する苦情件数は全体で3,823件であり、その中で工場振動が最も多く、建設振動がそれに次いでいる(第1-10図)。
このほか、近年、可聴域以下の低い振動数の空気振動(低周波空気振動)による影響が問題にされており、52年度においては、工場施設、道路高架橋等に起因すると思われる24件の苦情が出されている。