(1) 漁業公害調査
?PCB、水銀等による汚染状況をは握するため、引き続き魚介類の汚染状況調査を行うこととし、PCBについては30水域、水銀等については57水域について調査を実施するほか、?前年度に引き続き、魚介類への水銀蓄積機構を明らかにするための調査を実施する。?また、「海洋水産資源開発促進法」に基づく沿岸水産資源開発区域及びその周辺水域における水質汚濁等による環境の悪化の防止を図るため、都道府県が実施する漁場環境調査に対し、引き続き助成することとしている。?更に、海面の大規模な埋立てや大規模発電所の建設に伴う漁場の喪失・大量温排水について、漁場への影響の予測等の事前評価の手法に関する調査を引き続き実施することしている。
(2) 漁業公害の防止及び指導体制の整備
?水質汚濁等による漁業被害の発生防止とその軽減を図るため、全国的な調査指導体制の整備を進めてきたが、昭和53年度においても引き続き、都道府県に置かれている漁業公害調査指導員による漁場の監視・緊急連絡等を行う漁業公害調査指導事業に助成するとともに、新たに漁業公害に適切に対処するために必要な基礎資料を作成する。?また、漁業公害に対する認識を深めるため、公害防止啓もう宣伝事業として、映画やテレビの製作放映等を行うこととしている。?更に、突発的漁業被害発生に対処して、漁場油濁被害防止、軽減のための油処理剤、同散布器、オイルフェンス等の防止資機材の整備につき、引き続き都道府県に助成するとともに、?廃棄物のたい積等により効用の低下している沿岸漁場等に対しては、都道府県等が実施する廃棄物除去等の漁場復旧事業及び沿岸漁場整備開発事業の一環としての大規模しゅんせつ等の事業に対し、引き続き助成することとしている。
(3) 赤潮被害防止対策
?赤潮防止対策としては、瀬戸内海の他に、新たに九州西部、北海道及び東北等、近年赤潮が多発している地方の海域を対象に、テレファックス等を用いて、漁協、道府県、水産庁を結ぶ赤潮関係の情報収集、処理体制を拡充強化して早期通報を行うことにより、漁業被害を防ぐとともに、赤潮発生予察のための調査を実施することとしている。?また、赤潮発生時における魚類の避難及び蓄養のための施設の設置に対して助成することとしている。
赤潮の発生要因の1つであるヘドロのたい積の実態について、53年度においては宇和海、尾鷲湾において、そのたい積分布状況、たい積量、性状等の調査を行い、漁場改良復旧のための基礎資料を得ることとしている。?また、53年度からは富栄養化した漁場の浄化対策技術の開発試験として、粘土物質によるヘドロ底質の改良技術、スケレトネマ、レンギョ等の生物による水中の富栄養化物質の除去技術、更に水質、底質の浄化を図るための海底耕うん機、海底ばっ気装置及び海底被覆工法についての開発試験を実施することとしている。
(4) 漁業被害救済対策
公害による被害漁業者の救済対策としては、?原因者不明の油濁事故の続発に対し、被害漁業者に対する救済金の支給、防除費の支弁等を行う財団法人漁場油濁被害救済金に対し、事業費等の助成を行う。また?水銀、PCB等による汚染問題に係る被害漁業者等に対する経営資金等の融資について利子補給を行うとともに、?養殖共済のうち赤潮特約に係る掛金について助成を行うこととしている。