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第3節 

5 ケミカルアセスメントの体系化

 以上のように、我が国においては化学物質審査規制法により、新規化学物質については、国内生産、輸入を問わず、人の健康や環境に対する影響について事前審査が実施されており、生産、使用の禁止を含む厳しい規制が行われることとなっている。
 また、既存化学物質についても、法律上は明記されていないが、その点検作業が政府を中心として進められてきている。
 しかしながら、数万点に及ぶ既存化学物質を含め、化学物質全体をいかに効率的に点検、監視していくかという面から見ると、これらの作業は必ずしも充分に体系化されてはいないという実情にある。このため、更に総合的な施策を推進していくことが必要となってきている。
 そこで、環境庁においては、化学物質対策を環境汚染の未然防止の観点から総合施策として推進していくという方針のもとに、これまで通商産業省、厚生省が実施してきている対策を含め、さらに国際機関の動きとも対応して、化学物質に対する行政調査、研究体制の体系化の準備を51年から開始している。
 この化学物質総点検構想は、1)数万点にもおよぶ化学性物質について能率的、合理的かつ必要最低限の費用で環境保全上の立場に立っての点検を行う。2)国際情報を本体系と有機的に結合する。3)調査結果に基づく所要の行政対策要請において要求される基礎資料を可能な限り準備しておく。4)要注意物質については環境調査上長期のフォローアップを考慮する。5)新たな汚染物質が発見された場合、その汚染が過去にさかのぼって調査できるように、環境試料の長期保存を考える。6)国際社会における有害化学物質問題の指導国としての責務を配慮する、というような面から立案されている。
 この計画では、数万点に及ぶ化学物質の中から問題となる化学物質を段階的に追いつめる方式(ステップシークエンス方式)がとられている(第3-19図)。

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