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第2節 

2 財政、金融上の助成措置

 我が国の民間企業の公害防止設備投資は前述のように最近若干の低下を見ているものの、40年代中頃から50年にかけて急激な伸びを示している(第2-6図参照)。
 公害防止の緊要性にかんがみて、このような企業努力を促すために、税制、金融上の助成措置が採られている。
 税制上の措置としては、?公害防止用設備の特別償却制度(法人税,所得税の減税)?公害防止準備金の損金算入制度(法人税、所得税の減税)?公害防止関連の設備等に関する固定資産税、事業所税など地方税の減税などがその典型として挙げられる。
 これらの公害対策関係による52年度の減収額は、国税約240億円、地方税約110億円となっている。
 金融上の措置としては、政府関係金融機関による特別融資、特殊法人による施設譲渡などが挙げられる。
 これらの助成措置の主要なものについて、51年度の実績を見ると、次のようになっている。
 中小企業金融金庫 (安全公害貸付) 251億円 (1,435件)
 国民金融公庫 (安全公害貸付) 15〃 (385〃)
 公害防止事業団 〃(貸付事業) 801〃 (357〃)
 (建設譲渡事業) 246〃 (25)
 日本開発銀行 (公害防止等貸付) 1,901〃 (〃)
 中小企業振興事業団及び都道府県 〃(貸付事業) 15〃 (32〃)
 (設備リース) 2〃 (3〃)
 北海道東北開発公庫 (特別貸付) 96〃 (40〃)
 農林漁業金融公庫 (畜産経営環境保全貸付) 15〃 (171〃)
 金属鉱業事業団 〃(鉱害防止貸付) 8〃 (30〃)
 (鉱害防止事業負担金資金) 2〃 (〃)
 沖縄振興開発金融公庫 (安全公害貸付) 13〃 (5〃)
 中小企業設備近代化資金 (公害防止施設) 9〃 (169〃)
 これらの貸付制度は中小企業設備近代化資金の無利子を初め、いずれも市中一般金利よりも低利となっており、補助金的役割りを果たしている。また、いずれも全額融資ではなく、一般資金導入の呼び水ともなっているとともに、その償還期間の長さ及び据置条件から見て企業の資金繰りを助けることになる。ちなみに、51年度の特利がいずれも7%程度であったと見て(年度中に利率の変更があり、また、機関及び貸付対象の相違により正確とはいえぬがほぼこの程度と見込まれる。)市中の貸出金利を10%程度と考えると約100億円が初年度分の補助金相当額とみなせる。
 また、それぞれの貸付の融資比率の上限として仮に60%程度を考えると、少なくとも2,000億円以上の民間資金を導入していることになる。
 このような特別融資は我が国に特有なものではなく、欧米諸国でも採られており、企業に対する様々な援助の補助金相当額の民間公害防止投資に対する比率を、各国について見ると第2-15表のとおりである。
 また、国と地方公共団体との関係においては、国から地方公共団体への補助金及び財政投融資資金による地方債の引受けがある。
 補助金については、例えば、下水道整備事業、廃棄物処理事業及び港湾整備事業(廃棄物処理施設等)については次のようになっている。
 公害対策関係事業に充てるための地方債については、これまでの地方債計画では次のようになっている。

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