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第8節 漁業被害対策

 PCB、水銀等による汚染状況をは握するため、引き続き魚介類の汚染状況調査を行うこととし、PCBについては30水域、水銀等については58地域について調査を実施するほか、新たに、魚介類への水銀蓄積機構を明らかにするための調査を実施する。また、「海洋水産資源開発促進法」に基づく沿岸水産資源開発区域及びその周辺水域における水質汚濁等による環境の悪化の防止を図るため、都道府県が実施する漁場環境調査に対し引き続き助成することとしている。更に、海面の大規模な埋立てや大規模発電所の建設に伴う漁場の喪失・大量温排水について、漁業への影響の予測等の事前評価の手法の開発に関する総合的な調査を引き続き実施することとしている。
 水質汚濁等による漁業被害の発生防止とその軽減を図るため、全国的な調査指導体制の整備が進められているが、昭和52年度においては、引き続き、都道府県に置かれている漁業公害調査指導員による漁業の監視・緊急連絡等を行う漁業公害調査指導事業に助成する一方、漁業公害に対する認識を深めるため、公害防止啓もう宣伝事業として、映画やテレビの製作放映等を行うこととしている。
 また、突発的漁業被害発生に対処して漁場油濁被害防止軽減のための油処理剤、散布器、オイルフェンス等の防止資器材の整備につき、引き続き都道府県に助成することとしている。廃棄物のたい積等により効用の低下している沿岸漁場等に対しては、都道府県等が実施する廃棄物除去等の漁場復旧事業及び沿岸漁場整備開発事業の一環としての大規模しゅんせつ等の事業に対し、引き続き助成することとしている。
 赤潮防止対策としては、瀬戸内海を対象に、テレファックス等を用いて、漁場、府県、水産庁(瀬戸内海漁業調整事務局)を結ぶ赤潮関係の情報収集、処理体制を拡充強化し、早期通報を行うことにより、漁業被害を防ぐとともに、赤潮発生予察のための調査を実施することとしている。また、赤潮発生時の避難、蓄養のための施設の設置や、赤潮発生の基礎的要因の1つと考えられる汚染海底でい(ヘドロ)の二次公害を発生させない除去技術の事業化試験に対して助成するとともに、52年度より、海底に薄く、かつ、広くたい積したヘドロ底質の改良試験を実施することとしている。更にヘドロの実態についても、52年度においては、陸奥湾、五ヶ所湾、英虞湾において、そのたい積分布状況、たい積量、性状等についての調査を行い、漁場改良復旧の基礎資料を得ることとしている。
 公害による被害漁業者の救済対策としては、原因者不明の油濁事故の続発に対処して、漁場油濁被害救済対策を改善し、救済金の支給、防除費の支弁等を業務とする漁場油濁被害救済基金に対し、管理運営費等につき、補助金を交付する。また水銀等による汚染問題に係る被害漁業者等に対する経営資金等の融資に対する利子補給補助及び養殖共済赤潮特約に係る掛金の補助についても、引き続き実施することとしている。

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