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第2節 

3 監視・取締り等の実施状況

 監視・取締りの対象となる「大気汚染防止法」、「水質汚濁防止法」等の規制法による規制対象施設数の推移を見ると、各規制法とも規制の強化を反映して、規制の対象となる施設数は増加している(第2-16図)。特に「水質汚濁防止法」の特定事業場数(「瀬戸内海環境保全臨時措置法」の特定事業場を含む。)は、46年度の102,696事業場から50年度には240,175事業場と2.3倍に増加している。「騒音規制法」の特定建設作業数は、建設作業期間中に限って規制対象となるため、毎年変動しているが、増加傾向にあることは同様である。
 これらの施設を監視し、取り締まるために都道府県知事又は市町村長は工場・事業場への立入検査、報告の徴収を行い得ることとなっており、このうち大気汚染や水質汚濁の排出基準に対して違反があるときは、直ちに通常の司法手続によって罰則が適用されることになっているが、基準違反のおそれのある施設に対しては、都道府県知事又は委任を受けた市の長が処理方法の改善、当該施設の一時使用停止等を命じ得ることとなっている。また、騒音、振動及び悪臭の規制基準違反に対しては、市町村長が当該施設の使用の方法等の改善勧告、更には改善命令を行い得ることとなっている。
 地方公共団体の50年度における「大気汚染防止法」及び「水質汚濁防止法」に基づく監視・取締り業務の実施状況を地域別に見ると、第2-17図のとおりであるが、口頭による指導から行政処分に準ずるようなものまで含めた各種の行政指導は、大気汚染については全国で約6千件、水質汚濁については約3万4千件行われており、取締りにおいておおきな比重を占めている。
 なお、改善命令等の行政処分は水質汚濁については約1千件、大気汚染については20件の実例があり、また刑事処分(公害事犯検挙状況)については、廃棄物の処理違反を中心として51年は4,697件の検挙件数があった(警察庁調べ)。
 最後に地方公共団体による苦情処理の状況を見てみると、苦情を受理した場合、行政当局が苦情解決のために現地調査を行ったのは全体の94%を占めている。そして苦情の解決を図るため、苦情の発生源に対して行政指導を行ったものが66%に達し、行政指導が解決方法の主体をなしている。このような苦情処理の結果、被害がなくなったものが35%、被害が軽くなったものが47%となっており、苦情の処理が公害の解決又は軽減に寄与しているところは大きい(第2-18図)。

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