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第2節 国連における活動

(1) 国連環境計画(UNEP)
 ストックホルム会議を契機に創設された国連環境計画(UNEP)の活動も本格化し、当初より58理事国の一員としてこれに参画してきた我が国への期待は大きいものがある。
 第3回国連環境計画管理理事会は、昭和50年4月17日から5月2日までケニアのナイロビで開催された。その結果、1975、1976、1977年の環境プログラム及び基金計画のレビューと承認、国連人間居住会議へのUNEPの追加資金援助、国連人間居住財団の活動プラン及びプログラムの承認、共有天然資源の保全及び開発に関する行動計画を検討する政府間専門家グループの設置、環境と開発の問題についての次回理事会での審議、UNEP機構レビューに関する作業手続、国連砂漠化防止会議へのUNEPの支援等に関する27の決議が採択された。
 アジア地域関係の事項では、50年11月のアジア太平洋地域事務所のバンコック開設があり、地域活動の充実が図られることになった。
(2) 国連人間居住会議(HABITAT)
 この会議は、51年5月31日から6月11日までカナダのバンクーバーで開催される。その準備作業は、政府間準備委員会、事務局及びカナダ政府の間で進められ、我が国も準備委員会への出席、ナショナルレポート及び展示映画の作成等に積極的に参画してきている。
 会議のテーマは、?居住政策と戦略、?居住計画、?シェルター、インフラストラクチャー及びサービス、?土地、?住民参加、?機構と管理で、原則宣言、国内行動計画及び国際協力計画等が51年1月の準備委員会でほぼ固められた。
(3) 海洋汚染に関する国際的動向
ア 海洋法会議
 海洋における新しい国際法秩序を樹立するため、45年の第25回国連総会で第3次国連海洋法会議の開催が決議された。第1会期は48年12月にニューヨークで、第2会期は49年6月から8月にベネズエラのカラカスで開催された。
 140か国が参加して50年3月17日から5月9日までジュネーブで第3会期が開催されたが、領海、経済水域、海峡、大陸棚、深海海底開発、海洋汚染防止等主要な問題の基本的枠組みについて合意は見られなかった。しかし、議長提案という形で海洋法条約の非公式単一交渉草案が提示され、51年3月15日からニューヨークで開かれた第4会期ではこれを基に各国とも精力的な検討を重ねている。また、海洋汚染については、船舶又は陸上の活動に起因する汚染、海底の探査及び開発に関する活動、廃棄物の投棄等から海洋環境を保護するとともに、損害を賠償し、紛争を解決するため、国内法又は国際法の整備をすることになっており、議論の進展が各界から注目されている。
イ 海洋投棄規制条約
 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約は、47年11月に採択されたが、15か国の批准を得て50年8月に発効した。この条約の規定に基づく締約国会議は、22の締約国を含む72か国及び関係国際機関が参加して50年12月17日、18日とロンドンで開かれ、本条約の事務局としてIMCOが指定された。
 我が国は、現在、条約批准のための作業を進めている。
(4) WHO環境保健判定条件の策定
 国連人間環境会議でWHOに対し、大気、水、食物、その他環境中に含まれる汚染物質等から人体を保護するため環境保健判定条件(クライテリア)を策定することが勧告された。WHOは、これに基づいて、各国の協力を得て、物質等ごとに順次その策定作業を進めているが、我が国もその要請にこたえ、現在までのところ、水銀、カドミウム、PCBとPCT、マンガン、鉛、騒音、硫黄酸化物、窒素酸化物、光化学オキシダント及び硝酸塩について資料の提供、意見の提出、専門家の派遣を行う等積極的に協力している。

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