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第6節 

2 土壌汚染防止対策

(1) 特定有害物質の追加等
 このような土壌汚染に対処するため、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」に基づく特定有害物質としてカドミウム及びその化合物、銅及びその化合物に加えて、50年4月砒素及びその化合物を新たに指定するとともに、砒素及びその化合物に係る農用地土壌汚染防止対策地域の指定要件を土壌中の濃度が原則として15ppm以上のものと定めた。
(2) 土壌汚染対策事業
 46年度から49年度における細密調査等により、対策地域の指定要件の基準値を超える量のカドミウム又は銅が検出された地域については、対策地域の指定を行っており、51年1月末日までに福島県の日曹金属(株)会津製錬所周辺地域等28地域が指定され、指定総農用地面積は水田約2,930ha、畑約25haとなっている(第4-6-3表参照)。
 対策地域に指定された地域のうち対策計画が策定されたのは、群馬県の碓氷川流域地域等10地域であるが、これらの地域においては排土、客土、水源転換等の公害防除特別土地改良事業等が実施されている。なお、排土、客土等農用地に係る事業についての国の補助率は100分の55であったが、50年度は当該事業の一層の推進を図るため、補助率3分の2に引き上げられた(ただし、50年度着工以降分のみ)。
 また、カドミウム1.0ppm以上を含む米が生産された地域においては、「食品衛生法」に基づく成分規格に適合しない米が生産されることを防止するため、土地利用の転換、非食用植物の作付け等の指導を図るとともに、水稲を栽培する場合についても水稲の品種の変更、水管理の改善、土壌の改良等適切な措置を採るよう指導が行われている。更に、休廃止鉱山等に起因するカドミウム等による広域的な蓄積性汚染が問題となっている秋田県雄物川流域、石川県梯川流域及び島根県津和野川流域について、汚染の実態のは握と汚染機構の解明のための環境調査を実施した。

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