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第6節 

1 土壌汚染の現況

 近年、大気の汚染、水質の汚濁等を媒体としたカドミウム等による農用地の土壌の汚染が各地で顕在化しており、人の健康を損なうおそれがある農畜産物の生産及び農作物等の生育の阻害の原因ともなっている。
 重金属類による土壌汚染については、その実態をは握し、対策を推進するための調査が進められており、土壌汚染の現況が逐次明らかにされつつある。
 特定有害物質による農用地の汚染の実態をは握するために、46年度からカドミウムについて、47年度からカドミウム及び銅について、更に50年度からは砒素を加えた3物質について、その汚染地域及び汚染のおそれのある地域を対象に「土壌汚染対策細密調査」(細密調査)を実施している。
 49年度は、カドミウムに係る細密調査を30都道府県87地域、約13,600haについて、また、銅に係る細密調査を16県30地域、約2,400haについて実施した(この調査は国庫補助事業のほか、都道府県単独事業としても実施している)。この調査の結果の概要は、第4-6-1表に示すとおりである。対策地域の指定要件としての基準値以上のものが検出された地域は、カドミウムに係る調査では32地域(275点)、銅に係る調査では13地域(89点)であり、比較的汚染度の高い地域は、秋田県平鹿地域(カドミウム汚染、基準値以上のもの73点)と石川県梯川流域地域(銅汚染、基準値以上のもの41点)であった(第4-6-2表参照)。また、米中のカドミウム濃度の最高値は、富山県神通川流域左岸地域の4.23ppm、土壌中の銅濃度の最高値は秋田県の東福寺地域の890.0ppmである。
 ちなみに、50年度は31府県の100地域約6,800ha(国庫補助事業分のみ)で細密調査を実施した。
 このほか、重金属類による農用地の汚染の全般的な状況をは握するため、原則として毎年度同じ地点で「重金属類概況調査」を継続して実施している。
 なお、汚染防止対策に資するため、農用地の土壌が汚染されている地域又は汚染のおそれが著しいと認められる地域において、現地改善対策試験ほ場を設置し、客土、土壌改良等の効果について調査試験を実施している。

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