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第2節 

6 監視測定体制の整備

(1) 地方大気汚染監視測定体制
 地方における大気汚染に係る監視測定は、「大気汚染防止法」第22条の規定により、大気汚染の常時監視義務を有する都道府県及び同法施行令により委任を受けた市等において行われている。
 また、大気汚染物質を排出する発生源の煙道中のばい煙濃度等の測定体制も一部の地方公共団体において整備が進められている(地方公共団体の大気汚染監視網整備状況については参考資料7を参照)。
 なお、国においては都道府県及び政令市が行うこれらの監視測定に必要な測定機等の整備に対して補助を行っている(補助率、公害防止計画地域1/2、その他の地域1/3)。50年度の補助金予算額は、9億9千万円である。
(2) 国設大気測定網
 大気汚染物質のうち、現に規制の対象となっている物質のみならず、他の物質を含めて大気汚染の態様を全国的な視野では握するとともに、環境基準の設定、公害防止計画の策定等に必要な基礎資料を得る目的で国設大気汚染測定所及び国設環境大気測定所が設置されている(第2-2-7図参照)。
 国設大気汚染測定所は、全国の主要地域15か所に設置されている。各測定所には、二酸化硫黄等の各種測定機器が設置されており、このデータを基に大気汚染要因の解析や究明が行われている。
 国設環境大気測定所は、我が国の代表的な平野部における既汚染地域以外の地域の状況をは握する目的で48年度から計画的に設置されている。48年度及び49年度に各2か所を整備したのに続いて、50年度は新潟県新津市及び愛知県犬山市の2か所の整備を行った。この測定所には、国設大気汚染測定所に設置しているものと同種の測定機器のほかに弗化水素等の測定機器も設置している。
 自動車排出ガスについても国設自動車排出ガス測定所を東京都内の3か所に設置している(測定機器の設置状況については参考資料8を参照)。
 なお、環境測定のための自動連続測定は、一酸化炭素、二酸化硫黄、窒素酸化物、浮遊ふんじん(光散乱法による相対濃度測定)及び炭化水素については、日本工業規格(JIS)に規定された性能を持つ測定機器によって行われている。しかしながら、低濃度領域の測定については、高精度の低濃度標準ガスが得にくいこと、干渉成分等の影響が多いこと等により、得られる測定値にある程度の誤差を生ずることは避けられない。このため、なお一層の測定精度向上を図るため、引き続いて検討を行っている。
 また、全地球的規模の大気汚染状態の常時観測がWMO(世界気象機関)の地球環境監視システムの一環として岩手県三陸町の気象ロケット観測所において行われている。


(3) 予報体制
 「大気汚染防止法」に定められた都道府県知事の行う緊急時の措置等に協力するため、新たに高松地方気象台に大気汚染気象センターを設置するとともに、既に大気汚染業務を実施している銚子、横浜、京都等の8地方気象台に加え、松山地方気象台についても予報業務に必要な設備を整備した。

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