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第1節 

3 大気汚染系疾病

(1) 概況
 補償法による大気汚染系指定疾病としては、慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎及び肺気しゅ並びにこれらの続発症が定められているが、これら疾病による被認定者数は制度発足時の49年9月1日には、救済法から14,355人を引き継ぎ、50年3月末で、19,340人となっている(第5-1-5表参照)。
 その年齢別割合を見ると、被認定者は若年層と老人層に多く、9歳以下の児童が46.5%を占め、60歳以上の19.8%を併せると全体の66.3%をこれらの層で占めている。
 また、これを疾病別割合で見ると、慢性気管支炎22.6%、気管支ぜん息38.6%、ぜん息性気管支炎37.3%、肺気しゅ1.5%となっている。


(2) 四日市地域の健康被害
 公害健康被害補償制度は、四日市公害裁判後同市を視察した当時の環境庁長官の発言を契機としてその策定を急いだものであるが、四日市地域における大気の汚染による健康被害に関する経緯は次のとおりである。
 34・35年頃 四日市第1コンビナートの操業活動の本格化とともに、いわゆる四日市ぜん息などの被害発生
 39年 厚生省によるばい煙等影響調査の実施
 40年2月 四日市市では、公害関係医療審査会を発足させ、被害者への医療費支給を開始
 44年12月 救済法制定(被害者に対する医療費等の支給)
 47年7月 磯津地区住民(原告12人、うち患者7人)による6社相手の損害賠債請求について、原告勝訴の判決
 47年11月 磯津地区住民140人と被告6社との間で、上記判決に準じた補償協定成立
 48年9月 地元企業群の拠出による四日市公害対策協力財団発足
 49年9月 補償法施行(被害者救済の拡充)
(3) その他
 補償法による以外にも東京都をはじめとする22の地方自治体において、地域のニーズに応じた公害被害者の救済措置が採られている。また、川崎、横浜等においては、地方自治体が仲介して補償法の関与しない過去分等の損害について企業群と被認定者間の補償解決を図っている。

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