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第3節 

4 下水道の整備

 下水道は、都市の健全な発達と公衆衛生の向上に資する基盤的施設であるとともに、良好な水質環境の回復と保全のための欠くべからざる施設である。49年度において次のような施策を講じて下水道の整備を推進した。
(1) 下水道事業
 46年度を初年度とする第3次下水道整備5箇年計画の49年度までの進ちょく状況は第3-3-1表のとおりであり、公共下水道の市街地面積に対する普及率は、49年度末で約26%の見込みとなっている。また、49年度には、下水道整備の緊急性にかんがみ、国庫補助率を大幅に引き上げた(第3-3-2表参照)。


(2) 流域別下水道整備総合計画
 「下水道法」においては、水質汚濁に係る環境基準が定められた公共用水域のうち、主として下水道の整備によって環境基準を達成せしめる必要のあるものについて、都道府県が建設大臣の承認を受けて下水道の整備に関する総合的な基本計画(流域別下水道整備総合計画)を定めるべきこととされている。
 本計画の重要性にかんがみ、国において主要な流域について、本計画策定のための調査に必要な経費の3分の1を46年度から補助している。49年度には、調査費480百万円(うち国費160百万円)で相模川、中南勢水域等22流域について調査を実施した。
(3) 技術の開発
 近年、公共用水域の水質環境の保全のため高度の下水処理技術が要請されており、特に、2次処理の効率化技術の確立のほか、3次処理技術及び汚でい処理技術の開発と実用化の促進が望まれている。このため、48年度に引き続き、下水道事業調査費により調査研究を継続して行ってきており、横須賀市、京都市において実験プラントによる調査を継続するとともに多摩川流域下水道南多摩下水処理場において3次処理の大型実験施設の建設に着手した。その規模は処理人口で55,000人、処理能力で17,600m
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/日である。また、下水泥でいの処理処分に関する調査を実施した。
 このほか、新たに処理場の周辺環境との調和を図るための処理場の環境対策に関する調査及び農山漁村、湖沼周辺等における水質保全を図るための下水道に関する調査を実施した。
(4) 下水道事業センター
 下水道整備事業を計画的かつ迅速に実施していくため、47年に設立された下水道事業センターは、49年度においては26か所の終末処理場等の建設工事及び20か所の実施設計を行った(総額240億円)。また、3次処理技術の開発、2次処理技術の改良及び汚でい処理システムの開発等の新しい技術の実用性について研究を行うとともに、国及び地方公共団体の下水道技術者約500人を対象として下水道事業に関する研修を行った。
(5) 生活扶助世帯に対する水洗便所設置費補助
 下水道の処理区域内の生活扶助世帯のうち家屋を有する者に対する水洗化の費用補助を行う市町村に対して費用の3分の1を補助するもので、処理区域内の水洗化の促進を図り、下水道投資の効果を最大限に発揮させようとするものである。なお、本制度は48年度より創設されたものである。
(6) 国際交流
 日米下水処理技術委員会の第3回会議が49年2月に東京において開催され、日米共通の問題として各種の議題が討議された。
 また、開発途上国に対する国際協力事業団の研修計画として水質汚濁・下水道研修コースが48年度から設置され、49年度は引き続き第2回研修が実施された。

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