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第3節 

2 規制措置の強化

(1) 上乗せ排水基準の設定
 公共用水域の水質保全のため、「水質汚濁防止法」により、特定の工場及び事業場から公共用水域に排出される水について全国一律の排水基準が設定されているほか、都道府県が、全国一律の排水基準ではその環境基準を達成することが困難な水域について、より厳しい上乗せ排水基準を設定し得るものとされている。
 49年末現在で、上乗せ排水基準を設定している都道府県は45であり、49年度に上乗せ排水基準を強化した都道府県は、「輝戸内海環境保全臨時措置法」による11府県を含め23府県に上り、水質規制が一段と強化されている。
 なお、49年度に、上乗せ排水基準設定促進のため28水域について水質調査費又は基準設定費の補助を行った。
(2) 規制対象の拡大
 「水質汚濁防止法」は旧工場排水規制法当時の規制対象130業種のほぼ4倍に当たる約520業種を規制対象としているが、49年度には、湖沼、山間部の河川等の水質汚濁の一因となっている旅館からの排水及び有害物質等が含有されることの多い試験研究機関等からの排水を規制するため、49年12月から旅館、試験研究機関等に係る特定施設を指定し、規制の強化を図った。
 また、現在なお規制の対象となっていない業種についても順次調査を実施の上規制対象として組み入れていくこととしており、49年度においては、食料品製造業(規制対象となっていない業態のもの)、自動車等の整備業及び給食センターの排水の実態調査を実施した。
(3) 規制項目の追加、見直し等
 分析技術の進歩、環境汚染と魚介類汚染との関連についてのデータの増加等科学的知見が拡大してきたことにかんがみ、49年10月に水銀に係る排水基準の見直しを行うとともに、50年3月にPCBに係る排水基準を新たに設定した。
 また、新たに規制対象項目として組み込むため、49年度には、48年度に引き続き温排水、有色排水について環境に及ばす影響の調査研究を実施するとともに、海域の赤潮及び湖沼の富栄養化の要因と考えられる窒素及びリンのほかニッケルについて、排出水の実態調査を実施した。

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