1 環境基準の設定
水質保全行政の目標として、「公害対策基本法」により、公共用水域の水質について、達成し、維持することが望ましい基準を定めることとされている。環境基準は人の健康を保護する上で達成し、維持すべき基準と生活環境を保全する上で達成し、維持すべき基準の2つから成っている。
前者については全公共用水域について一律に定められており、後者については、河川、湖沼、海域ごとに利水目的等に応じた水域類型を設けてそれぞれについてCOD、BOD.DO等の項目に関する基準値を定め、各公共用水域について水域類型を指定することにより当該公共用水域の環境基準を具体的に示すことになっている。
人の健康の保護に関する環境基準は、カドミウム、シアン、有機リン、鉛、クロム(6価)、砒素、総水銀及びアルキル水銀の8項目について定められてきたが、このうち、総水銀及びアルキル水銀の基準値は、従来の測定方法により「検出されないこと」とされていたが、近年における測定技術及び科学約知見の進歩に伴い昭和49年9月30日に改定され、総水銀については「0.0005ppm以下」、アルキル水銀については「検出されないこと」(定量限界0.0005ppm)となった。
また、50年2月の環境庁告示により.PCBについても定められることとなり、その基準値は魚介類への影響を考慮して「検出されないこと」(定量限界0.0005ppm)となった。
生活環境の保全に関する各公共用水域に対する水域類型の指定は、47県際水域については国が行うこととされているほか、原則として当該公共用水域が属する都道府県知事が行うこととされている。県際水域に対する水域類型の指定は、49年5月の瀬戸内海中の6水域の指定(一部改定を含む。)をもって、すべて完了した。また、都道府県知事が水域類型の指定を行うこととされている公共用水域のうち主要水域については、49年12月末現在において、271水域について水域類型の指定を完了した。