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第1節 

2 環境復元費用

 環境復元費用のうち、水銀、PCB等有害物質の蓄積によって生ずる蓄積性汚染の除去に要する費用については、45年12月に「公害防止事業費事業者負担法」が制定され、国又は地方公共団体が実施する河川や港湾等の公共水域における汚でいのしゅんせつ事業、農用地の客土事業等の公害防止事業について、事業者にその費用の全部又は一部を負担させる制度が成立した。
 この制度の対象となる公害防止事業には、環境の復元を図るための事業のみならず、緩衝緑地の設置事業等も含まれているが、これらの公害防止事業が実施される際には、当該事業を必要ならしめた公害について汚染原因となった事業者に、その原因となると認められる程度に応じて所要の費用を負担させることになっており、その算定が困難な場合には事業者の負担すべき費用負担の割合について事業の種類ごとに概定割合が定められている。49年2月末までにこの法律が適用された事例は26件あるが、そのうち環境復元のための事業(しゅんせつ事業、農用地等の客土事業、河川の浄化事業)は22件であり、事業費総額(現在計画実施中のものを含む。)は218億円に上り、このうち、事業者の負担分は167億円で事業総額の76.6%となっている。
 なお、破壊された自然環境の回復等に要する環境復元費用については、特別の制度はなく、個々のケースに応じ、自然の改変状況等を勘案し、地方公共団体等から原状回復命令等を出すことによって対処している。

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