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第2節 

2 その他の政府関係機関による融資

(1) 中小企業設備近代化資金による融資
 中小企業設備近代化資金は、中小企業近代化資金等助成法に基づき中小企業者の設備資金に対して融資が行われるものであるが、公害防止施設に対しては優先的に取り扱うこととしている。融資対象施設は、汚水処理設備、ばい煙又は粉じん処理装置、特定物質処理装置、騒音防止設備、工業用水道への転換設備、海水汚濁防止用装置、悪臭処理設備、廃棄物処理設備である。
(2) 中小企業金融公庫による融資
 中小企業金融公庫による公害防止施設等に対する融資は、中小企業者を対象に40年9月から行われている。融資対象は、汚水又は廃液処理施設、ばい煙並びに粉じん又は特定物質処理施設、騒音防止施設、産業廃棄物処理施設、悪臭防止施設、工業用水道への転換施設、公害防止事業費事業者負担法に基づく事業者負担金であるが、48年度からは産業廃棄物処理業者及び産業廃棄物有効利用施設を融資対象に追加するとともに貸付限度額の引上げ、貸付枠の拡大(48年度170億円、安全・公害防止枠のうち。47年度同110億円)を行った。
 更に、48年度においては、過密解消及び公害防止のための中小企業の工場移転に対する特別融資制度(融資枠構造改善貸付け465億円のうち)を創設し、移転に必要な土地、建設機械設備に対して融資を行うこととした。その他公害防止のための事業転換を行うのに必要な資金に対しても、融資が行われている。
(3) 国民金融公庫による融資
 45年度から国民金融公庫においても、公害防止施設等に対する特別融資制度が設けられており、融資対象は、従来の汚水処理施設、ばい煙等処理施設、粉じん防止施設、騒音防止施設、産業廃棄物処理施設、悪臭防止施設、工業用水道等への転換施設及び公害防止事業費事業者負担法に基づく事業者負担金であるが、48年度からは、産業廃棄物処理業者及び産業廃棄物有効利用施設を融資の対象に加えるとともに貸付限度額の引上げ(一般貸付限度額に5,000万円を上乗せした額。47年度は同3,000万円)、貸付枠の拡大(48年度55億円、安全・公害防止枠のうち。47年度同30億円)を行った。
 更に、48年度においては、中小企業の過密、公害移転に対する特別融資制度(融資枠構造改善貸付け45億円のうち)を創設し、移転に必要な土地、建物、機械設備に対する融資を行うこととした。その他公害防止のための事業転換を行うのに必要な資金に対しても、融資が行われている。
(4) 中小企業振興事業団による融資
 中小企業振興事業団による資金の助成制度は、共同処理施設等に貸付けを行うもので、汚水、ばい煙、粉じん、騒音、産業廃棄物、悪臭等の共同公害防止事業に対して融資を行っており、また、公害防止機器を共同購入し組合員に買取予約付きリースを行う公害防止設備リース事業に対しても融資が行われている。
(5) 日本開発銀行による融資
 日本開発銀行においては、公害防止枠を650億円に拡大した(47年度450億円)。
 融資対象施設は、公害予防施設、公害防止施設、工場環境整備の三つの柱があり、公害予防施設として石油低いおう化(重油脱硫設備、重質油分解・ガス化脱硫)、ガソリン無鉛化、液化天然ガス発電、無公害工程転換公害防止施設としてばい煙防止、汚水処理等、廃棄物処理、排煙脱硫、海水油濁防止である。なお、無公害工程転換の対象として隔膜法食塩電解設備、塩素法酸化チタン製造設備及び工場立地法の準則に適合する工場環境整備に要する施設を追加した。
 また、このほか、公害防止に寄与するものとして、公害過密地域からの工場分散に対する融資や廃車処理事業に対する融資、公害防止技術の企業化等に対する国産技術振興資金による融資を行っている。
(6) 公害防止機器リース制度
 この制度は、公害防止機器のリースを行うリース会社に対し長期信用銀行3行から融資を行うものである。
 リース対象物件は、? ばい煙処理機器、? 粉じん処理機器、? 排ガス処理機器、? 排水処理機器、? 油水分離機器、? 汚でい脱水機器、? 砂利汚濁水処理機器、? 産業廃棄物処理機器、? 公害防止用測定機器、? 騒音、振動又は悪臭の防止機器、である。

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