6 史跡、名勝、天然記念物の保護
(1) 史跡等の保存整備
貝づか、古墳、城跡等の遺跡で我が国にとって歴史上又は学術上重要な歴史的記念物については、文部大臣はこれを史跡に指定することができることとされており、49年3月31日現在933件が指定されている。指定された土地については、現状変更が制限され保護されることとなっている。また、史跡のうち、特に必要がある民有地についても、これを買い上げて保存するとともに当該遺跡の性格、内容に応じた整備等の保護事業(補助事業)を行っている。48年度は、史跡等の買上げとして太宰府地区史跡(福岡県)、多賀城跡(宮城県)等77件、史跡等の環境整備として白水阿弥陀境域(福島県)、武蔵国分寺跡(東京都)等64件について補助を行った。
また、古墳等の遺跡が集中的に所在している地域について、当該地域の環境整備、資料館の設備、民家の移築等を行い、当該地域の文化財の一体的保存とその普及活用を図る「風土記の丘」の建設を行っており、48年度までに8か所の整備を完了している。
飛鳥、藤原地域の文化財の保存整備については、45年12月の閣議決定に基づき史跡の土地買上げ、整備、発掘調査及び資料館の設置等を引き続き実施している。また、47年3月に発見された高松塚古墳の壁画については、その重要性にかんがみ、48年4月特別史跡に指定するとともに壁画模写、修復等のための調査及び保存施設の設備等を行っている。
かつての奈良の都の宮城の跡である平城宮跡については、現在約120ヘクタールが特別史跡に指定されており、38年度以来国費による買上げを行うとともに奈良国立文化財研究所が発掘調査及び整備を行っている。
この土地の買上げについては、48年度は約3ヘクタールの買上げを行い、これまでに約81ヘクタールを買上げているほか、買上げ予定地域の残余の部分について、奈良県が地方債により一括先行取得を行うこととしている。
(2) 名勝、天然記念物の保護
庭園、峡谷、山岳等の名勝地及び動植物、地質鉱物等で観賞上又は学術上価値の高いものについては、文部大臣はこれを名勝又は天然記念物に指定することができることとされており、49年3月31日現在、名勝215件、天然記念物881件が指定されている。
文化庁では、近年の開発の進展に伴い、天然記念物である動植物が減少しつつあることに対処するため、42年度から年次計画により、全国天然記念物緊急調査を実施し、この結果を植生図、主要動植物地図としてまとめ、その保護の基礎資料とするとともに天然記念物の生態等についての緊急調査及び絶滅の危機にある動物及び衰退の著しい天然記念物の指定地域については、これを回復させるための保護増殖事業として給餌、人工増殖、湿原回復等を実施している。