前のページ 次のページ

第4節 

2 近郊緑地等

(1) 首都圏近郊緑地
 首都圏においては、「首都圏整備法」により既成市街地の近郊で、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街地の整備と緑地の保全をあわせて図る地域として近郊整備地帯を指定している。この区域において良好な自然環境を有する緑地を保全し、適正な都市環境を確保するとともに地域住民の健全な心身の保持増進と、公害及び災害の防止に資するため、「首都圏近郊緑地保全法」に基づき、現在までに18か所、約13,600ヘクタール(うち48年度2か所、1,011ヘクタール追加)を首都圏近郊緑地保全区域(第6-4-2表)として指定している。また、適地調査の結果に基づき、追加指定の作業を進めている。
 なお、近郊緑地保全区域においては、建築物の新改築、木竹の伐採、土地の形質の変更等緑地の保全に影響を及ぼす行為について届出制とするほか、特に保全を図るべき枢要な地区については都市計画の「近郊緑地特別保全地区」として決定することができることとなっており、既に8地区、約650ヘクタール(うち48年度1地区、73ヘクタール追加)を決定している。
 この地区については、一定の行為について許可制とするとともに行為の規制により、土地の利用に著しい支障をきたした場合に、土地の所有者の申出により土地を買い入れることになっており、47年度までに約49ヘクタールを買い入れている。また48年度においては、国費92百万円を地方公共団体に補助して約2.6ヘクタールの土地を買い入れた。


(2) 中部圏保全区域
 中部圏においては、「中部圏開発整備法」に基づいて、観光資源を保全し、若しくは開発し、緑地を保全し、又は文化財を保存する必要がある区域を保全区域として指定することとなっている。49年1月現在、第6-4-3表のとおり主として観光資源の保全開発に関連する18区域約124万ヘクタールが指定されており、このうち伊勢志摩、揖斐伊吹、赤目青山香肌峡の3区域を除く15区域については保全区域整備計画が作成されている。
 また、48年度においては、中京地域を中心とする緑地の保全に関する調査及び文化財と周辺自然環境を一体とした地域の保全に関する調査等を実施した。


(3) 近畿圏保全区域
 近畿圏においては、近畿圏整備法に基づき文化財の保存、緑地の保全又は観光資源の保全、開発を行う区域として、49年3月現在21区域、約50万ヘクタールの保全区域が指定されている。そのうち、市街化の特に著しい既成都市区域の近郊における保全区域内の樹林地(隣接一体の土地、池沼を含む。)については、住民の健全な心身の保持、増進又は公害、災害の防止を図るため、「近畿圏の保全区域の整備に関する法律」に基づき、近郊緑地保全区域として6区域約8万ヘクタールが指定されている。この区域については近郊緑地の保全に影響を及ぼす一定の行為について届出の義務が課せられている。特に重要な地区については都市計画の「緑地保全地区(従来は近郊緑地特別保全地区)」として決定することになっており、既に六甲地区内に5地区594ヘクタールを決定している。この地区については一定の行為について許可制とするとともに行為の規制により土地の利用に著しい支障をきたした場合に土地の所有者の申出により土地を買い入れることになっており、48年度までに買い入れた土地は、約8.5ヘクタールである。
 なお、48年度末現在の保全区域及び近郊緑地保全区域の指定状況は第6-4-4表のとおりである。
 保全区域については、「近畿圏の保全区域の整備に関する法律」により府県知事が保全区域整備計画を作成し、区域内の整備の基本構想、土地の利用に関する事項、文化財の保存、緑地の保全又は観光資源の保全、開発に関連して必要とされる施設の整備に関する事項についてその大綱を定め、区域の整備・保全を図ることとなっており、46年度から作成に着手した。48年度においては、赤目室生月瀬、吉野熊野、琵琶湖、瀬戸内海、氷ノ山、平城山の辺、藤原飛鳥、白浜田辺海岸、枯木灘海岸の9区域について保全区域整備計画が作成され、これで伊勢志摩区域以外の20区域の整備計画が内閣総理大臣の承認を受けた。

前のページ 次のページ