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第1節 

4 イタイイタイ病

(1) 経緯
 富山県婦負郡婦中町、富山市の一部及びその周辺地域に、原因不明の激痛を伴う奇病がみられることが、30年の第17回臨床外科医学会に報告され関係者の注目をひいた。
 38年厚生省は富山県から本症について公式報告を受け、イタイイタイ病研究委員会を設け、関係者と協力して原因究明の調査研究に着手し、また、文部省においてもイタイタイ病研究班を組織し、協力して調査研究に当たった。
 43年5月厚生省は、イタイイタイ病の本態と発生原因について、厚生省の見解を公式に発表し、以後の防止対策の指針とした。また、44年9月「カドミウムによる環境汚染暫定対策要領」を作成し、カドミウムによる生活環境の汚染が疑われる地域について、環境汚染調査、住民保健対策、カドミウム発生源対策を関係都道府県と協力して推進している。
(2) 救済
 イタイイタイ病患者に対しては、43年から国の補助を得て、富山県において医療救済の措置が講じられていたが、44年12月に制定された救済法に基づいて、45年2月以降医療費、医療手当、介護手当が支給されていた。
 しかし、48年度以降の医療費等については、48年7月19日患者側と会社側との補償交渉が妥結されたことにより、会社側から支払われることとなり、救済法による医療費等の支給はなくなった。
 また、47年度以前に救済法により支給された医療費等についても、会社側から返還された。
 42年以来イタイイタイ病患者と認められたものは、48年12月末現在125人で、このうち死亡者は44人である。(第5-1-3表)。


(3) 管理検診
 救済法による指定地域となっている富山県神通川流域におけるイタイイタイ病要観察者は133人(48年12月現在)確認されているが、この要観察者については富山県において管理検診を行って経過を観察している。

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