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第1節 

2 騒音防止対策

(1) 騒音規制法による規制
 45年の騒音規制法の改正で、指定地域の対象範囲が大幅に広げられたことにより、工場・事業場騒音、建設騒音及び自動車騒音の規制が進められ、47年12月31日現在の騒音規制法に基づく指定地域は46都道府県において451市176町29村23特別区に及んでいる。
ア 工場・事業場騒音
 騒音規制法の規制対象となっている工場及び事業場の数は47年末において81,428に及んでいるが、47年中に新たに規制を受けることとなった工場・事業場及び騒音規制法に基づく改善勧告及び改善命令の47年中における発動状況は第4-1-2表のとおりである。
イ 建設騒音
 47年中に行われた騒音規制法の規制を受ける建設作業の件数及びそのうち騒音規制法に基づく改善勧告等が発動された件数は第4-1-3表に示すとおりである。
ウ 自動車騒音
 47年中に騒音規制法の規定に基づき都道府県知事が、都道府県公安委員会に対し、道路交通法の規定による措置をとるべきことを要請した件数及び都道府県知事が当該道路の部分の構造の改善その他自動車騒音の大きさの減少に資する事項に関し、道路管理者又は関係行政機関の長に意見を述べた件数は第4-1-4表に示すとおりである。


(2) その他の騒音対策
ア 土地利用の適正化
 工場・事業場騒音に関する問題の多くは、住居と工場とが混在していることにも起因するものであるため、従来から都市計画法等により土地利用の適正化が図られてきた。45年の都市計画法等の改正によって定められた新たな用途地域の指定は、大都市地域(都市計画法の政令都市)及び従前から用途地域指定のあった地域の都市計画区域については、すべて完了し、更にその他の都市計画区域についてもその指定を進めており、これを通じて住工分離の施策が促進されている。49年3月に施行された工場立地法に基づく工場立地に関する準則においても、騒音規制法の特定施設等を工場敷地に設置する場合は、周辺地域の土地利用状況に応じて生活環境に対する影響が最も小さくなるように、又は住宅等から100m以上離れて配置するように義務づけられている。
 他方、騒音が問題となる工場・事業場の多くは中小規模であるため、資金的な面から移転が困難な場合が多いので、公害防止事業団において、共同利用建物の建設あるいは工場団地の造成を行い、中小工場にあっせんしている。公害防止事業団が47年度までに、金属加工業等騒音発生型の工場の移転のために実施した事業は、共同利用建物の建設5か所及び工場団地の造成37か所である。
イ 自動車騒音防止対策
 自動車の走行に起因する騒音は、エンジン、吸排気管、ファン及びラジエータ、トランスミッション、タイヤ等から発生するが、実際には、自動車の種類、走行条件及び道路構造等の各種の変動要素が複雑にからみあって騒音となっている。
 自動車騒音の大きさそのものを減らす発生源対策は、特殊自動車を除くすべての自動車及び原動機付自転車について、新車及び使用過程車を対象とし規制が実施されている。当面、大型自動車及び二輪車に重点をおく許容限度の強化を検討しているが、更に、長期的観点から複雑な発生機構を有する自動車騒音の規制強化を図るべく、中央公害対策審議会に対し、「騒音規制第16条第1項に基づく自動車騒音の大きさの許容限度の設定についての長期的方策はいかにあるべきか。」について諮門中である。
 このような発生源対策に加え、都市内においては都市総合交通規制の実施が推進されつつあり、特に文教及び住居地域等静穏を保持する必要がある地域については、速度制限、夜間の自動車の通行禁止等の交通規制が実施されている。また、高速道路等自動車交通量の多い幹線道路と住居が近接している地域では、当面、しゃ音壁の設置等の対策が行われているが、長期的には、土地利用の適正化、都市再開発等の自動車をとりまく環境の整備が必要である。

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