3 航空機・新幹線騒音の現況と対策
(1) 現況
航空機による騒音は、騒音レベルが高く、また、広範囲に及ぶため、飛行場特にジェット機が離着陸する飛行場の周辺においては、生活環境上の大きな問題となっている。また、新幹線鉄道騒音は構造によって異なるが(第4-1-5表)、一般に騒音レベルが高く、沿線において騒音による被害が問題となっている。
(2) 航空機騒音に係る環境基準の設定
航空機騒音については、46年末に緊急対策指針が設定され、これに基づき東京、大阪両国際空港における夜間の航行制限等の措置が講じられてきたが、更に飛行場周辺住民の生活環境の保全を図るため、航空機騒音対策の総合的な目標となる環境基準が、中央公害対策審議会の答申を得て48年12月27日に設定された(参考資料4参照)。今後はこれを目標として、音源対策、飛行場周辺の土地利用の適正化等の施策が進められることとなる。
(3) 対策
航空機騒音対策は、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」及び「防衛施設周辺の整備等に関する法律」を中心に進められている。公共用飛行場については、特定の飛行場周辺において、学校、病院等の防音工事の助成、共同利用施設の整備の助成、建物等の移転の補償、土地の買取り、テレビ受信障害対策等の諸施策を講じているほか、音源対策として、東京、大阪両国際空港における夜間発着の原則的禁止、離着陸経路の指定等を行っている。更に、これら従来の対策だけでは現在市街化又は新しく市街化しようとしている空港周辺地域における問題の解決には不十分であるという観点から、空港周辺の一定区域を緩衡緑地帯、騒音の影響を受け難い施設地帯として再開発を行っていくという土地利用計画の適正化施策を骨子とした前記「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」の改正を行った。(49年3月27日成立)。
自衛隊又は駐留米軍の航空機の騒音対策としては、著しい音響を防止軽減するための学校、病院等の防音工事に対する助成、防衛施設の運用による騒音障害の緩和に資するための施設の整備に対する助成、特定飛行場周辺の建物等の移転補償等を行うほか、テレビ受信料の減免措置に対する補助、騒音用電話設置に対する補助等、幅広い施策を講じている。更に、音源対策として自衛隊又は駐留米軍の航空機の運用に当たって、消音装置の使用及び飛行方法の規制について十分な配慮を行っている。
また、新幹線鉄道騒音対策としては、音源対策として、線路構造物、軌道、車両の改良等を行ったほか、障害防止対策として、民家の騒音防止工事の助成及び移転補償の実施について検討を行っている。