2 OECDの活動
47年5月OECD(経済協力開発機構)の理事会で採択された「環境政策の国際経済的側面に関する指導原則」は、汚染者負担の原則(PPP)を打ち出し、国際的に大きな反響を呼んだ。OECDではその後も、指導原則の各種施策への適用を巡り、その手法、例外の限界、経済的影響・効果等について検討を行っている。48年10月にはスウェーデン政府の申出によって、スウェーデンの環境行政全般を指導原則の立場から検討するための専門家会議がストックホルムで開かれた。
OECD理事会は48年9月18日、環境委員会の提案に基づき、水銀の排出防止のための勧告を採択した。その内容は、農業における有機水銀の使用中止、紙・パルプ産業における水銀化合物の使用中止、水銀法電解工場からの水銀排出規制等について決めたものである。これはPCBの使用を規制する48年2月の理事会決定に次ぐものであり、水銀汚染に関する我が国提出のデータが大いに貢献した。
このほか、環境委員会のもとに設けられた大気管理、水管理、有害化学物質、都市環境の四つの部会や経済専門家小委員会、アドホック作業部会も、それぞれ公害防止措置の比較研究、費用・効果分析、規制実施の手法・制度の検討、各種産業のケーススタディ、情報収集等を行っている。
我が国はこれらの部会ばかりでなく、諸種の専門家会合にも参加し情報を提供して、積極的貢献をしている。48年10月にはパリのOECD日本政府代表部に我が国初の環境アタッシエが赴き、環境委員会そのほかOECD諸機関との連携協力を一層強める役割を果たしている。