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第4節 

3 二国間協力等

 日米公害閣僚会議の下部機構たる日米光化学大気汚染委員会は、48年6月東京において第1回会合を開催した。そこでは両国における光化学スモッグの発生形態にかなりの違いがあることが指摘され、今後も情報交換を進めるばかりでなく、研究者の派遣、指標植物による共同研究、相互の大気汚染分析長期計画への協力等が決定された。これに先立つ5月、同じく日米自動車公害対策委員会も東京において予備会合を開き、今後とも緊密な協力を図ることが合意された。日米下水処理技術委員会も49年2月、東京で第3回会合を開き、技術的な意見交換を行った。
 アメリカ以外にも、48年11月、カナダに政府の科学技術ミッションが派遣され、石油による海洋汚染防止、富栄養化問題等の環境管理技術の分野を含めて、両国間の技術的協力を促進することが合意された。
 9月には西ドイツから政府環境科学技術調査団が我が国を訪れ、この分野における最新の情報の交換と相互協力の可能性を話し合った。
 自然保護の分野では、天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)の国立公園部会が48年9月25日から東京で開かれ、増大する一方の観光や野外レクリェーション需要とそこから生ずる自然破壊防止の問題を中心に討議が行われた。また、47年に締結された日米間の渡り鳥等保護条約に続き、10月10日には日ソ渡り鳥等保護条約がモスクワにおいて署名された。渡り鳥等保護のための同様の協定は日豪間にも締結交渉が行われ、49年2月6日、日豪間の協定が東京において署名された。今後更に国際協力を進め、野生鳥獣の国際的な保護を進めることとしている。
 発展途上国における環境管理行政を援助する目的をもって、環境行政担当者のセミナーが本年度から開設された。第1回は49年3月1日から3週間、東京でアジア諸国から8人の中堅行政官を受け入れて行われ、我が国の環境政策、行政や公害の実例・体験をひれきして多くの成果を収めた。
 このセミナーばかりでなく、各国政府や国際機関を通じての研修依頼や技術援助の申入れは年々増加してきており、事情の許す限り要望に応じている。また、タイで起きた苛性ソーダ工場によるメナム川汚染問題の例が示すように、海外進出をした日本企業における公害問題も起こっているので、調査団の派遣、開発途上国における公害対策に協力・援助する方途や、海外進出企業に対する指導のあり方等も検討されている。

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