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第8節 工業立地政策

 過密・過疎を解消して国土の均衡ある発展を図るとともに、今後の工業立地にあたっては地域環境との調和に十分留意する必要がある。
 このような見地から昭和48年度においては次のような施策を新たに講ずることとしている。
 第1に、既に47年度から実施に移されている工業再配置施策については、工業再配置補助金、工業団地造成利子補給金および工業再配置・産炭地域振興公団の事業につき抜本的な拡充を行ない、所要の財政上の措置を講ずることとしている。
 第2に、工場立地と地域環境との調和を図るための措置を講ずることとしている。
 今後の工場立地に際しては、公害・災害等の防止に万全を期することはもちろん、進んで工場緑化等を行ない積極的に地域環境づくりに貢献することが不可欠であり、これを実現するためには、公害に関する規制の強化、防止技術の開発等と並んで、工場立地の段階から、企業自ら周辺の生活環境との調和を保ちうる基盤を整備するよう誘導、規制していくことが必要である。
 このような観点から以下のような内容の工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案(工場立地法案)を第71回国会に提出している。
(1) 工場立地に際する敷地利用のあり方に関する規制
 工場の生産施設、緑地等の敷地面積に占める割合ならびに緑地等の配置に関する準則を公表し、工場設置前にこの準則に係る事項を届出せしめ届出内容が準則に適合せず、周辺の生活環境の保持の観点から問題があると認めるときは必要な勧告、命令を行なうことができる。
(2) 大規模な工場が集中して設置されると予想される地域についての特別規制
 大規模な工場立地の場合、工場群から将来発生する可能性のある公害により著しい重合汚染が発生しないよう調査検討を行ない、その結果、問題地域については、大気または水質に関する公害防止措置を事業者に届出させ、著しい重合汚染を生ずるおそれがあると認められるときは必要な勧告、命令を行なうことができる。

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