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第3節 事業者の産業公害防止体制の整備

 産業公害を防止するためには、公害の発生源である公害における公害防止体制を整備することが必要である。このため、昭和46年6月、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」が施行され、特定工場において公害防止に関する業務を統括する公害防止統括者、公害防止に関して必要な専門的知識および技能を有する公害防止管理者等の選任を義務付け、これらを中心とする特定工場における公害防止組織の整備を図ることとした。
 本法による公害防止管理者等の選任義務は、昭和47年9月より生じ、公害防止管理者等の資格者養成のため、次のように公害防止管理者等国家試験および資格認定講習が実施された。
(1) 公害防止管理者等国家試験
 通商産業省は、第1回の公害防止管理者等国家試験を大気、水質、騒音関係等11種類の区分に応じて46年12月に実施した。この試験では、10万人以上の受験申込み者があり、36,384人が合格した。次いで、第2回の国家試験は、47年6月に実施し、受験申込者は、約14万人にのぼり、合格者は、35,667人であった。第2回の国家試験の受験申込者数は、第1回の国家試験に対して約20%の増加を示しており、各企業はもとより、一般国民も公害防止管理者制度に深い関心を有していることを示していると言えよう(第8-3-1表)。
 なお、第3回の国家試験は、48年10月に実施する予定である。


(2) 資格認定講習
 公害防止管理者等の資格をとるためには、前述の公害防止管理者等国家試験に合格するほか、通商産業大臣をはじめとし厚生・農林・運輸の各大臣が実施する講習または指定する講習を修了する方法がある。
 この制度は、一定の資格を有する者が受講できるものであって、例えば、技術士、熱管理士、電気主任技術者、特級ボイラー技士、毒物・劇物取扱責任者等の一定の資格を有する者または公害防止に関する一定の実務の経験と一定の学歴を有する者に講習を受講させ、講習を修了した者に対し、資格認定講習修了証書を交付することにより国家試験に合格した者と同様の資格を取得することができることとするものである。
 講習の修了者は第8-3-1表のとおり全体で46年度4,259名、47年度は38,540名であった。

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