前のページ 次のページ

第1節 

3 公害病の形態と種類

 公害による健康被害いわゆる公害病としては従来、大気汚染と水質汚濁の影響によるものが確認されているが、疾病の態様によって特異的疾患と非特異的疾患に分類することができる。
 特異的疾患は、原因とされる汚染物質とその疾病との間に特異的な関係があり、その物質がなければ、その疾病が起こり得ないとされている疾病であって、例えばアルキル水銀化合物が原因物質となった水俣病があるが、この場合、アルキル水銀化合物と水俣病は特異的関係にあるという。
 現在、公害病として指定されている特異的疾患には水俣病、イタイイタイ病および慢性砒素中毒症がある。
 非特異的疾患は、その疾病の原因となる特定の汚染物質が証明されていないものであって例えば、大気汚染の影響による公害病とされている慢性気管支炎のように、その発病の原因物質を科学的に厳密に特定することは現段階では困難であるが、いおう酸化物等大気汚染のレベルと疾病の発現等との関係を、疫学的手法を用いて人口集団の現象として確率論的に究明することは可能なものである。
 非特異的疾患として現在指定されているものに慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎ならびに肺気しゅの4疾病がある。

前のページ 次のページ