前のページ 次のページ

第1節 

3 騒音防止対策

(1) 規制措置の推進
 昭和45年の騒音規制法の改正で、指定地域の対象範囲が大幅に広げられたことに伴い、各都道府県における地域指定の作業が進められ、指定地域は、47年4月1日現在で366市114町31村23特別区に及んでいる。
 また、従来、法の一部適用が猶予されていた地域についても、3年間の経過措置期間が切れたことに伴い、改善勧告または改善命令が発動され逐次、生活環境の改善が図られている。
 なお、46年に設定された騒音に係る環境基準の地域類型のあてはめについても、東京都、大阪府、兵庫県等大都市周辺を中心に進められており、総合的な騒音防止対策の推進に資されている。
(2) 航空機騒音対策
 46年12月の環境庁長官から運輸大臣宛の勧告に基づき、運輸省においては東京および大阪両国際空港において、従来の規制よりさらに厳しい深夜の運航規制および航行の方法の指定等の措置を47年4月より実施している。
 さらに空港の周辺における一般住宅の防音工事助成についても、47年度に東京国際空港、大阪国際空港および福岡空港で実験調査を行ない、その結果にもとづき48年度から実施に移すために必要な制度の整備を図ることとしている。
 一方、空港関係市町村の騒音対策に要する財政負担が逐年増大している状況にかんがみ、47年4月、航空機燃料譲与税を新設し、市町村が行なう航空機騒音により生ずる障害の防止事業のための財源の充実強化に資することとした。
 また、自衛隊または駐留米軍の航空機の騒音については、防衛施設周辺の整備等に関する法律に基づき、防音工事の実施、家屋等の移転補償など幅広い施策を講じている。
(3) 新幹線騒音対策
 新幹線騒音については、これまでも学校、病院付近あるいは鉄げた部分等では、一部音源対策が講じられてきた。
 しかし、既設の東海道および山陽新幹線沿線においては、騒音問題が深刻化し看過しがたい状況であることにかんがみ、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道騒音対策について当面の措置を講ずる場合における指針」を47年12月20日次のとおり設定した。
? 新幹線鉄道騒音の騒音レベルが住居等の存する地域において、80ホン(A)〔dB (A)〕以下となるよう音源対策を講ずること。
? 音源対策を講じても特殊な線路構造等のためなお騒音を低減することが特に困難な場合には85ホン(A)以上の地域内に存する住居等について、屋内における日常生活が著しくそこなわれないよう、障害防止対策を講ずること。
? 病院、学校その他特に静穏の保持を要する施設の存する地域については、特段の配慮をすること。
 この指針を達成するため、同日付けで環境庁は、運輸省に対し勧告を行ない、運輸省はこれを受けて次のような緊急対策を定め、早急に実施することとなった。
ア 音源対策について
(ア) 東海道新幹線(東京・新大阪間)
 次の諸施策を行なうこととし、?および?並びに?のうち有道床鉄げたとの交換に関しては、家屋ちゅう密区間から着手しておおむね3カ年以内に措置し、?のうち有道床鉄げたとの交換不可能なものの技術開発に関しては、今後1年を目途に積極的に進め、環境庁の指針値を達成するよう努める。
? 盛土及び高架橋区間
 防音壁(高さ約2m)の整備を行なう。
? 有道床鉄げた橋りょう区間
 けた下しゃ音板、制振材、防音壁、バラストマット等の防音工事を施行する。
? 無道床鉄げた橋りょう区間
 比較的短支間で有道床鉄げたに交換可能なものは交換することとし、長大支間連続けた型式等の理由から交換不可能なものについては、防音工の開発等技術開発を行なう。
(イ) 山陽新幹線(新大阪・岡山間)
 環境庁の指針値をこえる区間について吸音材の取付け、防音壁の高さ及び位置の改良等を今後1年以内に行ない指針値を達成する。
イ 障害防止対策について
 適切な家屋防音工事の基準の作成を目的とした技術的検討を行なうため実験調査を行ない、住居等防音工事の助成、家屋移転補償に必要な制度等の整備を急いで48年度以降騒音の著しい箇所から着手する。
ウ 病院学校等について
 特に静穏の保持のため音源対策および障害防止対策において特段の配慮を行なう。
エ その他
 地上施設および車両について今後なお技術開発を行なうほか、騒音対策上効果の認められる東海道新幹線の重軌条化、低圧配電回路の整備等を積極的に推進し、また振動および風圧についても、その防止に努める。

前のページ 次のページ