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第2節 

4 鉛化合物の規制

 自動車の燃料であるガソリン中には、オクタン価を高めるために、一般に4―アルキル鉛が添加されている。この鉛がガソリンの燃焼後排出されて、人体に影響を及ぼすとも考えられること、排出ガス中の一酸化炭素、炭化水素等の量を減少させるための触媒式排出ガス減少装置の触媒に悪影響を及ぼし、その減少機能を阻害することから、昭和46年3月に毒物及び劇物取締法施行令の改正を行ない、加鉛量を1.3cc/リットル(4.8cc/gal)から0.3cc/リットル(1.1cc/gal)に引き下げた。
 これにより第2-2-6表に示すように昭和43年度における4―アルキル鉛の添加量は、全国平均でハイオクタンガソリン2.0cc/gal、レギュラーガソリン1.0cc/galであったが、昭和47年度では、添加量はそれぞれ0.77cc/gal、0.40cc/galと減少している。また、加鉛量の減少に伴い、ガソリンの中の芳香族系炭化水素等が増加することを極力抑制するよう行政指導を行なった。
 さらに、産業構造審議会公害部会は、昭和49年4月から無鉛ガソリンを供給する旨答申を出したが、ガソリンの無鉛化に伴い、既販売車については、バルブシートリセッション(潤滑材としての働きをする鉛がなくなることにより、バルブシート(弁座のバルブ(弁))との接触面が著しく摩耗し、バルブを突き上げることをいう。)が生じ、エンジンの寿命が著しく短縮するのみならず、排出ガス中の炭化水素等が増加、さらには走行性の悪化等の新たな問題が生ずる可能性が考えられるため、その対策の検討が進められている。

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