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第2節 

5 自動車騒音

(1) 自動車騒音の現状
 自動車による騒音は、エンジン、吸排気管、ファンおよびラジエータ、トランスミッション、タイヤなどから発生する音により形成されており、これらが自動車の種類、走行条件および路面の状態等の各種変動要素と複雑にからみあって騒音となっている。
 自動車騒音の大きさは、もとより交通量によって異なるが、全国主要道路の騒音の状況をみると、第2-2-7表のとおりであり、交通量の多い幹線道路周辺地域の騒音問題は、とくに深刻になっている。


(2) 規制の強化
 従来、騒音規制法は、工場騒音および建設作業騒音のみを規制対象としていたが、近年の自動車騒音に関する被害の増大に対処するため、昭和45年12月のいわゆる公害国会において、騒音規制法の一部改正が行なわれ、自動車騒音を規制対象に加えるとともに、その騒音の大きさの許容限度の設定等自動車騒音対策の抜本的強化が図られた。
 これらの強化措置を実施するため、まず騒音規制法の規制対象となる自動車を特殊自動車を除くすべての自動車および原動機付自転車と定め、これらの自動車について第2-2-8表のとおり車種および自動車の大きさ別に定常走行騒音および排気騒音と加速走行騒音に区分して許容限度を定めている。
 これをうけて、運輸大臣は自動車の運行に伴う騒音の具体的規制措置として、道路運送車両法の規定に基づく規制を行なうとともに、すべての自動車使用者に対し、定期点検整備を義務付けている。
 なお、昭和48年度において、自動車騒音の規制強化を図ることとしているが、このため環境庁に自動車騒音調査委員会を設け、自動車騒音に起因する環境騒音の実状、自動車騒音の伝搬実態、車両の大きさ、タイヤの種類、積載量別の自動車騒音の大きさ等の調査を行なうとともに、これまで十分に実態が解明されていなかった使用過程車の騒音の実態調査が実施された。
 また、騒音規制法の規定に基づき都道府県知事が都道府県公安委員会に対し、交通規制を要請することができることとなったが、この交通規制の要請基準については第4種区域までに区分し、これらの区域について道路の車線および時間帯別に自動車騒音の大きさの限度を定められており、これに基づいて交通規制の要請が行なわれ、東京都の環状7号線等一部においては、これを受けてすでに交通規制が実施に移されている。(第2-2-9表)
 なお、整備不良車についても自動車排出ガスの場合と同様の規制が強化された。

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