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第3節 

3 第2次、第3次地域に係る公害防止計画の承認

 第2次地域(東京、神奈川、大阪、埼玉県荒川水系流域、千葉県江戸川流域、京都府淀川流域、奈良県大和川流域)については、昭和46年5月に、第3次地域(鹿島、名古屋等、兵庫県東部、北九州、大分)については同年9月17日に、それぞれ、内閣総理大臣から都道府県知事に対して公害防止計画の策定が指示され、それぞれの計画に係る基本方針に基づき各都府県において公害防止計画の策定が進められてきたが、その提出があったので、公害対策基本法に定める手続に従って、公害対策会議の議を経て、47年12月19日付をもって内閣総理大臣の承認を行なった。
 計画承認がなされた12地域について公害防止計画の内容を説明すると、おおむね次のとおりである。
(1) 計画地域の概況
 これら12地域は、全国人口の約4割、工業出荷額のうえでは全国の約5割を占めており、公害が多様化かつ深刻化しているわが国の大都市のほとんどを網らしているほか、公害の未然防止を図る地域として大分、鹿島のコンビナート地域を含んでいる(第1-3-3表)。


(2) 計画目標および計画期間
 計画の目標は、汚染物等の程度を第1-3-4表の範囲内に引き下げ、またはその範囲内に維持しようとするものである。目標値は、原則として環境基準としている。
 なお、計画期限は、47年度から56年度までの10年間(千葉県江戸川流域にあっては、50年度までの4年間、鹿島地域および大分地域にあっては51年度までの5年間)である。
 計画目標のうち、とくにいおう酸化物については国においても、既に環境基準の改定作業に着手した段階であったこと等の事情を考慮して、現行環境基準達成を昭和48年度ないし49年度を目途とし、その後は、さらにきびしい目標を掲げている地域の場合(東京、大阪、および兵庫県東部)、公害の未然防止の観点から「環境汚染を現状程度以上に進行させない」こととしている地域の場合(鹿島、大分)等があり、各地域ごとに目標の設定の取扱いが異なっているが、これについては、環境基準の改定をまって、それぞれ所要の調整を行なうものとしている(第1-3-5表)。


(3) 公害の防止に関する措置および施策
 大気汚染および水質汚濁の防止に関しては、それぞれの地域に係る環境の受容能力を勘案して、計量的に現状分析と将来予測を行なうとともに、目標達成に必要な負荷削減量を定め、これらに基づいて、事業者および地方公共団体等が地域の特性に応じた措置および施策を講ずることとしている。
ア 事業者は、その事業活動による公害を防止するため、例えば大気汚染防止対策として原燃料の低いおう化、排煙脱硫装置、集じん装置等の設置、水質汚濁防止対策として、排水処理施設の設置、共同化等各種の公害防除措置を推進する。
イ 地方公共団体等は、公共下水道等の整備、河川・港湾のしゅんせつ、導水、緩衝緑地の設置、廃棄物処理施設の設置、学校環境等の整備、航空機騒音対策の実施、監視測定体制の整備等の公害対策事業を推進するほか、公園緑地・工場跡地等の整備、地盤沈下関連対策、交通対策等の公害関連事業を実施する。
 以上の公害防止計画に関する措置および施策を実施するために、計画期間内に必要とする経費の概算見込額は、事業者の措置については約2兆6千億円、地方公共団体等の施策については、公害対策事業に約7兆2千億円、公害関連事業に約9千億円となっている(第1-3-6表第1-3-7表)。

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