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第2節 

2 ストックホルム会議後の動き

 1972年9月から12月までニューヨークで開かれた第27回国連総会でストックホルム会議の成果について議論が行なわれ、環境計画管理理事会、環境事務局(ケニアのナイロビ)、環境基金の設立、世界環境の日の指定等が正式に決定された。第二回国連人間環境会議の開催については、カナダ、メキシコがストックホルムで、日本が10月20日国連総会で招致の意図を表明したが、環境計画管理理事会で決定の上1974年の国連総会までに決定することとなった。
 ストックホルム会議で採択された勧告を実施に移すため、いくつかの国際会議が開かれた。47年9月にロンドンで国際情報照会制度に関する専門家会議が開かれ技術的問題が討議された。海洋投棄規制条約については10月〜11月ロンドンで最終的な検討が行なわれ、11月13日に条約が採択された。この条約により水銀、カドミウム等の有害物質は原則として海洋投棄が禁止され、その他の物質については政府当局による許可に従って投棄されることとなった。11月にはまた世界遺産条約がユネスコ総会で採択された。さらに1973年3月2日ワシントンで野生動植物の輸出入等に関する条約が採択された。
 1973年6月に第1回の環境計画管理理事会がジュネーブで開かれる予定である。日本は理事国として今後の国際協力の推進について積極的に貢献してゆく考えである。
 ストックホルムで採択された行動勧告はこれから幅広く実施に移されることになるが、具体的な行動においては、IMCO、FAO等の専門機関とともにエカフエ等の地域経済委員会の役割が重要性を増すこととなろう。わが国としては、エカフエ諸国の間で環境保護の重要性につき討議し、また研究の実施等できる限りの協力を進めるべきである。海洋汚染の分野では10月IMCOで船舶から排出される油、有害物質、廃棄物、廃水を包括的に規制する条約の採択が行なわれる予定である。また、国連海洋法会議が春・夏二回の準備委員会を経た後11月に開始される。ここでは従来の旗国主義を変更し、沿岸国にも汚染防止のため領海外の一定範囲の海域で取締権を認めようとする汚染防止ゾーンの主張が開発途上国を中心として有力になりつつある。地球表面の7割を占める海洋の汚染問題はゆるがせにできない重要性を帯びてきており、国連を通ずるその防止のための国際協力が急務とされている。

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