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第2節 

3 OECDの動き

 OECDの環境委員会は、大気管理、水管理、化学品等四つのセクターグループ、自動車等のアドホックグループを設け幅広い活動を行なっている。最も重要なものは、1972年5月の理事会で採択された「環境政策の国際経済的側面に関する指導原則」である。汚染者費用負担の原則(PPP)と環境に関する基準の国際的調和を二つの主要な柱として不必要な国際間の摩擦をできるだけ避けようとするものである。この指導原則は、国際貿易に関連しているものではあるが、各国が国内の環境政策を推進するに当たって依拠すべき原則としてその意義が大きいと考える。理事会による採択の後、環境委員会、特別パネル等でこの原則を実施していくための機構や作業計画について議論が行なわれ、1973年2月の第7回環境委員会で紙パルプ産業を対象とするケーススタディー、公害型産業における公害防止コスト調査等を行なうことが合意された。1971年5月に発足した「人または環境に悪影響を及ぼす物質を規制するための措置に関する通報協議」制度の下では、水銀、DDT、PCB等について19件の通報とPCBについての協議が行なわれた。PCBについての協議は発展して加盟国が共同して規制措置を取ることをとり決めるに至った。一定範囲の誘導体、熱媒体として用いる場合を除きPCBの使用を禁止する、との理事会決定が1973年2月に行なわれたのがそれで、環境保護の観点から高く評価されるものである。OECDの会合は原則としてすべてパリで開かれるが、第10回大気管理セクターグループはとくに東京で1972年9月に開かれた。これは日本の提案によるものである。この会合で脱硫・光化学スモッグ等が論議されるとともに、東京・大阪等の脱硫施設・公害監視センターを各国代表が視察し、日本の実情についての理解を深め得る契機となった。

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