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第2節 

2 水質汚濁

 水質汚濁を防止し自然環境を保全するためには発生源において汚濁負荷量を減少させることが基本的なことであるが、さらに汚濁物質の循環機構自然界における浄化システム等を解明し、利用することが重要な課題である。このためパルプ排水、重金属含有排水、含油排水等各種産業排水について逆しん透圧法、イオン交換樹脂法、電気透折法、吸着処理法、起泡分離法、焼却処理法、オゾン処理法および凝集剤等の化学処理剤の利用等、各種物理、化学的処理技術の開発および活性汚泥法等、微生物利用による生物学的処理技術等の各種防止技術の開発を進めた他、46年度から新たに染色工程の非水化による染色排水の抜本的処理技術の開発に着手している。
 また特別研究促進調整費により重金属や有機性物質の海水中における浄化システムの解明および赤潮の発生予察技術、被害防除抑制技術の開発についての総合研究に着手するとともに、「水産加工場の排水処理技術およびたん白質回収技術」並びに「タンカー事故による油汚染の処理対策」に関する緊急研究を実施した。
 その他、従来から実施している水質汚濁が農作物および水産生物に及ぼす影響、水質汚濁等の公害発生源となる家畜ふん尿の処理利用技術の開発、水質汚濁計測技術の標準化および自動分析機器の開発等を引続き推進するとともに、とくに瀬戸内海の水質汚濁防止について模型実験による総合的解折を行なうため、46年7月設立された中国工業技術試験所において瀬戸内海大型水理模型の建設に着手した。
 水質汚濁対策関係の調査についても環境庁および各省庁で強力な推進を図った。
 すなわち、既に環境基準の類型あてはめが行なわれている水域について維持達成状況を調査するとともに、汚染のおそれのある水域の全てについて、人の健康にかかる項目に関する調査を行なった。
 排水規制関係の調査としては、上乗せ排水基準設定のための水質調査をはじめ、未規制汚濁源として残された畜舎排水の規制の基礎調査、水産資源等に対する影響が大きいといわれている火力発電所等の温排水調査、有色排水の規制のための色に関する基礎的研究および調査、生物相による汚水指標設定のための生物相調査等を実施した。

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