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第7節 事業者の産業公害防止体制の整備

 公害規制がいかに強化されても公害の発生源である事業者側における産業公害防止体制が整備されていなければ、公害を防止することは不可能といえよう。このような民間企業の側における産業公害防止体制の整備の必要性は、すでに通商産業省の産業構造審議会の中間報告においても指摘されているが、このうち工場における公害防止体制の整備について法制化の検討が行なわれ、46年6月「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」が公布、施行され、8月に同法施行令および施行規則が公布、施行された。
 本法の概要は次のとおりである。
 ばい煙発生施設、汚水等排出施設、騒音発生施設または粉じん発生施設を設置している工場(製造業、電気供給業またはガス供給業に属するもの)で一定の規模以上のものには、施設の区分ごとに公害防止管理者を選任し、公害発生施設において使用する燃料または原材料の検査、ばい煙の量の測定の実施等の技術的事項の管理を行なわせなければならない。また、常時使用する従業員の数が21人以上の特定事業者は、公害防止統括者を選任し、公害発生施設の使用方法の監視、公害発生施設の維持等公害防止に必要な業務を統括管理させなければならず、さらに排出ガス量が毎時4万m
3
以上であり、かつ、排出水量が1日当たり1万m
3
以上の工場においては、公害防止統括者を補佐し、公害防止管理者を揮指する者として公害防止主任管理者を選任しなければならない。
 これらの者のうち、公害防止管理者および公害防止主任管理者については、一定の資格が要求されているが、その資格をとるためには第1に通商産業大臣が行なう国家試験に合格するか、第2に各主務大臣が行ない、または指定する資格認定講習の課程を終了することが必要である。
 第1回目の国家試験は、46年12月に行なわれ、約10万人が受験した。また、46年度の資格認定講習については、47年2月から3月にかけ通商産業省、厚生省、農林省および運輸省関係の講習が行なわれた。

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