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第8節 工場立地政策

 公害問題の抜本的な解決のためには、工業の配置の段階で適正化を図ることがきわめて有効である。すなわち、過密・公害の著しい地域については工業のこれ以上の集中を防止するとともに、積極的に工場の地方分散を促進する必要がある。さらに今後新規に工業地帯として開発される地域については、その地域の開発計画の策定および実施段階において、各種の公害の発生を未然に防止するための対策を織り込むことが必要である。
 このため、昭和46年度においては、国土総合開発計画およびこれに関連する地域開発に関する計画をふまえ、環境保全の見地を十分に配慮して、具体的に次のような施策を講じている。
 第1に、首都圏整備法及び近畿圏整備法に基づき定められた工業等制限区域について、首都圏工業等制限法および近畿圏工場等制限法により、工場、事業場の立地制限を行なっている。すなわち、工場等制限区域内において製造業の用に供する作業場で、千m
2
以上のもの、大学および高等学校の教室であつて、千5百m
2
以上のもの等を新設および増設することは、過密を激化させない等の事由がある場合を除いて禁止されている。
 第2に、大都市周辺における過密問題、公害問題、労働力確保難に対処して、農村地域における工場の立地を促進するとともに、農業面においても農業構造の改善を図りつつ、農業所得の確保を図るため、農村地域工業導入促進法の制定など積極的な施策が実施に移された。
 第3に、分散する工場が新たに公害を生ずることのないよう工業開発に先立って事前の調査を十分に実施することが肝要であるため、従来にひきつづき、工場立地適正調査、産業公害総合事前調査その他の各種調査を実施している。

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