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第2節 

2 公害対策費

 公害対策の具体的施策ごとの概要は次のとおりである。
(1) 大気汚染対策
 大気汚染防止対策費は、前年度の885百万円に比し、1,479百万円と大幅に増加計上された。
 大気汚染防止法に基づく許容限度設定、特別区域指定等のための調査、国設大気汚染測定網の計画的な整備をはかるほか、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県にわたる広域監視施設の整備およびテレメーターによる監視設備整備等大気汚染監視測定体制の整備を図るための経費402百万円、学校公害について有効な防止対策の調査研究を行なったうえで学校校舎の公害防止工事を行なうための経費340百万円、大気汚染による被害の著しい公立小中学校児童生徒のための健康増進特別事業助成費80百万円がその主な内容である。
(2) 水質汚濁対策
 46年度予算では、公共用水域の水質保全、廃油処理施設整備費等の水質汚濁対策費732百万円が計上された。
 このうち水質汚濁防止法に基づく排水規制の強化をはかるとともに、公共用水域の水質の監視測定体制の整備をはかるための経費227百万円、工場排水の水質を水質基準に適合させるための経費15百万円、水産資源保護対策費65百万円、農業関係水質汚濁対策調査費530百万円、海水汚濁防止対策の充実強化のための経費140百万円等が計上され、それらの施設の充実を期しており、また、船舶による海水の油濁を防止するための廃油処理施設整備費340百万円が計上されており、ほかに直轄河川および補助河川の都市河川環境整備をはかるための経費(45年度895百万円)が実行段階において措置されることとなった。
(3) 下水道整備
 下水道の整備については、第2次下水道整備5箇年計画に沿ってその促進をはかってきたところであるが、45年12月末における排水面積普及率は22.8%にすぎないので、なお一層の促進をはかるため、新たに46年度を初年度とする第3次下水道整備5箇年計画(総投資規模2兆6,000億円)を策定し、46年度はその初年度として66,536百万円が計上された。
(4) 公害防止対策の研究
 公害防止対策の研究については、2,590百万円計上され45年度の2倍強となっている。
 公害規制の強化に対応して、公害防止技術開発は緊急かつ重大な課題となっており、他方、公害規制そのものにあっても、原因究明、予測技術の開発等を早急に推進する必要がある。
 このため、46年度予算では、まず大型プロジェクトとして重油の直接脱硫技術および自動車排ガス解消のための電気自動車の開発研究費558百万円、瀬戸内海の水質汚濁を未然に防止する研究のための大型水理模型建設費389百万円、重要技術研究開発費補助金200百万円、大気汚染水質汚濁の防止技術等の研究費597百万円、公害を起さない新農薬の創製開発費166百万円、公害防止対策樹立のため必要な各種公害に関する調査研究を大学等に委託するための経費153百万円が計上された。
(5) 産業公害事前調査等
 産業公害防止のための調査等については、大規模工業地帯の産業公害を防止するための科学的、総合的調査を実施し、その結果に基づいて適切な公害防止措置等の指導を行なうための産業公害総合事前調査費124百万円、特定有害物使用作業場における作業内容等の総点検、指導等のための経費30百万円等が計上された。
(6) 公害防止事業団の助成
 公害防止規制の強化に伴い、企業は公害防除施設の設置、工場移転等一層の公害防止努力を必要としている。これを円滑に行なわしめるため、公害防止事業団が設立されており、共同公害防止施設等の設置および工場移転用地の造成建設事業ならびに公害防止資金の貸付け(融資事業)を行なっている。46年度は事業団の業務の円滑なる遂行に資するための助成費等638百万円が計上された。
(7) 公害被害者救済対策
 公害被害者救済制度は、「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法」に基づき、44年12月に発足したものである。46年度については、公害認定患者に対する医療費等の財源として公害防止事業団に対する交付金等91百万円が計上された。
(8) その他の対策
ア 地盤沈下対策
 地盤沈下対策としてはひきつづき新潟地域特殊排水事業1,473百万円、天然ガス採取による地盤沈下についての地下水位観測調査および地盤沈下防止対策工業用水道事業費246百万円、地盤沈下地域の高潮対策事業費補助2,930百万円等が計上された。
イ 騒音対策
 46年度においては、騒音対策の一環として、防衛施設周辺騒音等防止対策費13,403百万円および航空機騒音対策費3,085百万円が計上された。
ウ 廃棄物処理施設整備
 46年度において、増大する廃棄物に対処するため4,361百万円を計上し、廃棄物処理施設の整備をはかることとした。
エ 悪臭防止対策
 悪臭防止対策として、46年度においては、市街地およびその近郊に散在する畜産農家を集団移転させるため畜産用地の造成をはかることとし、931百万円が計上された。
オ その他
 その他のおもな経費としては、中央公害審査委員会費41百万円、公害事犯の取締等のための経費36百万円、保健所の公害行政充実のための経費70百万円、水質障害対策費106百万円、都市計画事業の緩衝緑地事業費570百万円等があげられる。

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