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第4節 PCB等による健康影響

 PCB(ポリ塩化ビフェニール)はDDTやBHCと同じ、塩素化合物であるが殺虫剤ではなく、熱媒体、絶縁油やコンデンサー、感圧紙等に使用されていたが、通商産業省においては、PCB汚染の進行を防止するため、開放系製品のためのPCBの使用を中止し、閉鎖系の製品についてもPCBを回収しえないものについてはPCBの使用を中止するよう行政指導を行なった。
 この物質によって問題が起ったのは、北九州市を中心に西日本に昭和43年に発生したカネミ油症事件である。この事件は食用油の製造過程において熱媒体として使用された塩化ビフェニールが腐蝕したパイプの孔からもれて油に混入し、この油を食用に供した人達に急性毒性による被害を与えたものである。しかし、その後はカネミ油症のような健康被害は発生していない。最近では東京湾、瀬戸内海、琵琶湖等の魚介、土壌、鳥、人の母乳等から検出され新しい環境汚染物質として問題になっている。政府においては汚染の実態、慢性中毒による健康影響の有無等をは握するため研究調査を始め、未然防止対策の確立を急いでいる。
 また、宮崎県西臼杵郡高千穂町土呂久地区において、過去の無水亜ヒ酸採取の影響によると思われる地域住民の健康被害が指摘されたが、宮崎県では住民の健康調査を実施し、ヒ素との関連については、精密検査の結果をまって判断することとしている。

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