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第5節 四大公害裁判等

 公害に係る紛争事件は、公害の多発化にともない増加している。これらの紛争事件のうち、「新潟水俣病事件」、「四日市ぜんそく事件」、「イタイイタイ病事件」、「熊本水俣病事件」は四大公害裁判として社会の注目をあびている。このうち「イタイイタイ病事件」については、第1次提起分について昭和46年6月30日原告(被害者側)一部勝訴の判決があったが、被告、原告双方控訴により名古屋高裁で争われている。
 また、「新潟水俣病事件」は昭和46年9月29日原告(被害者側)一部勝訴の判決があり確定している。
 なお、このうち熊本水俣病事件については上記の訴訟とは別に以下のような進展がみられた。すなわち昭和46年8月、行政不服申立に対する環境庁長官の裁決にもとずいて熊本、鹿児島両県知事は46年10月と12月における処分において、前記不服申立者9名のうち8名を含む47名を水俣病患者として認定したが、裁決後に新たに認定された者は、チッソに対する損害賠償の請求にあたって公害紛争処理制度に基づく中央公害審査委員会による調停を求めるグループと、チッソに直接補償交渉を求めるグループ(自主交渉派)とに分かれ、社会的にも大きな問題となった。
 環境庁長官は、熊本県知事とともに、自主交渉派の患者とチッソとの直接交渉の開始をあっせんし、その立ち会い人となっており、現在自主交渉が続けられている。

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