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第1節 

2 大気汚染地域の健康被害状況

 大気汚染物質による健康被害の疫学的所見としては、地域における?死亡率の増加、?呼吸器系疾患の有病率の増加、?呼吸器系疾患者の症状の悪化、?呼吸機能の低下の四つに要約される。各地の大気汚染地域では地域住民の健康保護の見地から、例えば、問診方式による有症率調査、呼吸機能検査、呼吸器系疾患の患者調査などを行なっている。大気汚染が著しく、これらの有症率等の高い地域は、健康被害救済法の指定地域とされ、大気汚染系では、川崎市田島、大師、中央地域をはじめ六地域が指定されている。大気汚染系の認定患者は増えつづけており、証定患者は47年3月末現在で6,376人となっている。
 認定患者の疾病別割合(昭和46年9月現在)は慢性気管支炎25.5%、気管支ぜん息30.7%、ぜん息性気管支炎42.5%、肺気しゆ1.3%となっている。
 また、大気汚染系認定患者を年令階層別にみると、第3-1-1表のように9才以下の児童がほぼ半数を占め、次いで60才以上の老令者が21%となっている。
 また、大気汚染系認定患者の死亡状況を年令階層別にみると、第3-1-1図のとおり、いずれの地域においても60才以上の死亡者が圧倒的に多く、全体でみると死亡者総数のほぼ80%を占めている。

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