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第4節 

5 その他の対策

(1) 農業用水水質汚濁防止対策
 都市汚水や工場排水による河川や農業用水の水質汚濁が近年著しく進んでいる傾向にあり、利用可能な水質源の量および質の低下をきたしていることから、農業被害の著しい地区について農業用水の水質調査を補助事業として実施した。
 都市汚水等不特定多数による農業用水の水質汚濁に対処するため、かんがい排水施設の新設または改修およびこれと合わせて行なう客土等を内容とする県営水質障害対策事業(昭和46年度8地区)を実施した。
(2) 漁業公害対策
 水質汚濁による水産資源ならびに漁場荒廃の実態を把握し、漁場環境の保全に関する基礎資料の整備を図るため、昭和43年度から全国漁場環境保全基礎調査を実施している。昭和46年度は41水域について調査を実施した。また、昭和46年度は産業廃棄物、し尿等の海洋投棄が行なわれている水域について今後の海洋投棄の対策を樹立するための基礎資料を得るため都道府県に委託して環境調査を実施した。
 突発的に発生する公害による漁業被害の原因究明のための初動調査体制について、関係漁業者に対する指導講習会を昭和46年度から新たに開催するとともに、試料採取に必要な器具、薬品、被害の防止軽減化のための油中和剤等の整備に対し、都道府県を助成することとした。
 さらに、昭和46年度においては水質汚濁等によって生産性の低下している漁場について生産力の回復を図るためのしゅんせつ、作れい、土砂投入、耕うん等の事業に対し、都道府県を助成することとしたほか、油の漂着による被害の多発地域において都道府県が行なう防油柵の設置に対し助成することとした。
(3) 防衛施設周辺における対策
 防衛施設周辺においても、廃油の処理等の原因により水質の汚濁をきたし、農業、漁業等の生産に支障を生ずる場合もあるが、国は早くから防衛施設周辺における民生安定の総合的対策として、昭和28年に日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律を制定して、周辺住民の民生安定及び生活環境の保護について万全を期してきている。水質の汚濁等の場合にも、こうした総合的施策の一環として次のような施策により解決を図っている。
ア 市町村への助成
 防衛施設の運用により生ずる水質の汚濁による住民の生活または事業経営上の障害の緩和に資するため、市町村が生活環境施設または事業経営の安定に寄与する施設の整備について必要な措置をとるときは、当該市町村に対し、その費用の一部を補助している。
イ 損失の補償
 自衛隊及び駐留軍の特定の行為に伴い、水質の汚濁を生ぜしめた結果、農業、漁業等の経営者が経営上の損失を被ったときは、その損失を補償している。

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