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第4節 

4 河川等の浄化対策

(1) 河川等の浄化対策の推進
 河川に対する浄化対策としては、自己流量が少ない汚濁河川については、大河川より浄化用水を導入する「浄化用水導入事業」と、河床に堆積した汚泥をしゅんせつして、悪臭等の汚濁源の減少を図りあわせて洪水の疎通能力を改善する「汚泥しゅんせつ事業」を実施している。昭和46年度の実施状況は次のとおりである。
ア 浄化用水導入事業
 浄化用水導入事業としては、すでに隅田川および寝屋川を完了している。現在は中川について実施中であり、昭和46年度は事業費1,869百万円(治水:1,269百万円、浄化:600百万円)をもって、三郷放水路の建設事業を行なっている。この事業の計画は、洪水時には中川の洪水を江戸川へ毎秒200トンをポンプによって排水するとともに、江戸川の豊水時の余剰水を最大毎秒20トン導入して中川の浄化を図るものであり、これに要する総事業費は約14,190百万円(治水:11,830百万円、浄化2,360百万円)と見込まれている。
イ 汚泥しゅんせつ事業
 汚泥しゅんせつ事業は、昭和33年度に東京地区の隅田川で着手し、以後大阪地区、名古屋地区等の河川について事業を推進してきている。
 昭和46年度においては、事業費1,150百万円(直轄:120百万円、補助:1,030百万円)をもって東京地区(隅田川)、大阪地区(神崎川・大軒屋川)、名古屋地区(堀川)、諏訪地区(諏訪湖)等10地区について継続施工し、新たに多摩川、鶴見川等8地区について着手している。
(2) 河川の流況改善
 わが国の河川は、その長さが短かくかつ急峻であり、梅雨期および台風期に降雨が集中しているため、年間を通じて流量の変動が著しく、洪水時には水害を頻発させ、渇水時には、水量、水質ともに水利用上問題を起こすことが多い。
 こういった状況を改善するために、多目的ダムを建設し、年間を通じての河川流量の調整を行ない、河川の流況および水質を改善し、流水の正常な機能を増進することに努めている。
 昭和45年度に完成したダムは120であり、昭和46年度においては、第3次治水事業五カ年計画の第4年度として、新規に18事業に着手するほか、継続84事業を推進し、積極的に流況の改善を行ない、利水者の取水の安定化ならびに河川水質の保全を図ることにしている。
(3) 河川の清潔の保持
 河川の清潔を保持するため、河川法施行令の一部を改正し、河川への汚物または廃棄物の投棄を禁止し、また河川に汚水を排出する者に対してその排水状況を河川管理者に届け出ることを義務づけるとともに、異常な渇水等緊急な事態が生じた場合には、河川管理者から汚水の排出者に対し、汚水の排出量の減量や一時停止を求め、また関係行政機関に対し、汚水の排出者に対する監督の強化を求めることができることとした。
 さらに、一級河川については、河川管理者を含む関係行政機関からなる水質汚濁防止連絡協議会を設け、関係機関が相互に連絡をとりつつ水質の監視調査等を行ない、河川の水質改善を図るものとした。すでに利根川、淀川、大和川、阿武隈川等主要河川については、前述の協議会が設立され、積極的な活動を行なっている。

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